この場面について
春は、別れと出会いが同時にやってくる季節です。卒業や異動で離れていく人がいて、新しく出会う人がいる。暖かくなっていく空気の中で、気持ちだけが追いつかないこともあります。
春の感情浴は、始まりの物語とよく響き合います。新しいことに踏み出す人物や、まだ名前のつかない気持ちが芽生えていく物語は、この季節に読むとひときわ鮮やかに感じられます。一方で、別れの寂しさを抱えたままの人には、その気持ちを無理に切り替えずに浸かれる作品も用意しておきたいと考えています。
春の特集
メンバーが、この場面で実際に手に取った作品を持ち寄りました。
春に浸かった作品
この場面で記録された11作品を、しずくの多い順に並べています。しずくの数は、心が動いた大きさの目安です。

アナグマのいない春に、みんなが話したこと スーザン・バーレイ『わすれられないおくりもの』
読み聞かせの声が出なくなった

遅すぎるなんて、誰が決めたんだろう つるまいかだ『メダリスト』
見開きのたびに息を止めた

片思いの置いていき方を、美大の片すみで知った 羽海野チカ『ハチミツとクローバー』
自転車のうしろ姿で、めくる手が止まった

十三人ぶんの糸が、一本によじれていく 『十三機兵防衛圏』
眠れないまま朝になった

頁の上で、ピアノが鳴っていました 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
頁をめくる指がふるえた

春が来る前に、泣く準備をしておく漫画 新川直司『四月は君の嘘』
最終巻は三回に分けて読んだ

朝の体育館って、こんなに光ってたっけ 『アオのハコ』
一話目を三回リピートした

きらきらの裏側を、十六冊ぶん 赤坂アカ・横槍メンゴ『【推しの子】』
一巻で三回止まった

語り手の声が、ずっと少しだけ笑っている 宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
声に出して読みたくなった

明け方の渋谷が青く見えた日から 『ブルーピリオド』
背中が熱くなった

炊きたてのごはんのような主人公に、ほっぺたがゆるむ 高松美咲『スキップとローファー』
ほっぺたがゆるみました
ほかの記録
感情浴会の記録や読みもののなかで、この場面にふれたものです。
2026.04.11感情浴会の記録第72回 はじめて進行した春に 『アオのハコ』第1話〜第3話ときめきたい
しずく5
2025.04.13感情浴会の記録十三人そろった春に 第60回『メダリスト』第1巻・第2巻熱くなりたいしずく5
2025.03.09感情浴会の記録第59回 アルバムを一枚、止めずに聴く スピッツ『ひみつスタジオ』切なくなりたいしずく4
2024.03.24感情浴会の記録第47回 ときめきたい 『愛の不時着』第1話〜第4話ときめきたいしずく4
2023.04.15感情浴会の記録第36回 同じ人生を、もう一周 『ブラッシュアップライフ』やり直したくなりたいしずく4
2022.05.08感情浴会の記録五月の会の記録 『スキップとローファー』と、焼きそばパンときめきたいしずく4
2022.03.27感情浴会の記録第23回 文字でピアノを聴いた夜 『蜜蜂と遠雷』恩田陸ふるえたいしずく5
2021.04.24感情浴会の記録第12回 朝の街が青かった話 『ブルーピリオド』山口つばさ背中を押されたいしずく5
よく合う気持ち
この場面で浸かられることの多い気持ちです。言葉を選ぶと、気持ちの辞典に移ります。
