一時停止した画面の中で、幼なじみの三人がテーブルを囲んで、どうでもいい話をしている。その一枚で、うちはもう、このドラマのことが好きになっていた……
四月の感情浴会は、テレビドラマ『ブラッシュアップライフ』。脚本はバカリズム。先月まで放送されていた全10話で、進行のはるまきさんが、終わったらすぐやりたかった、と言って選んだ。当日は第1話を同時に再生して、あとはそれぞれ最後まで観てきた。九人全員そろった。
地元で暮らす三十代の女の人が、ある日突然亡くなる。あの世の受付で、次は人間ではない生きものに生まれ変わると告げられ、それが嫌で、もう一度、自分の人生を赤ちゃんからやり直すことを選ぶ。記憶はそのまま。徳を積んで、次こそ人間に生まれるために。
はるまきさんは、主人公が小学生に戻って、大人の頭のまま授業を受ける場面で、ずっと笑っていた。いや、ほんとに、あの顔、と何度も言っていた。凪さんは、何周目かの人生で主人公が決めたことに、背中が熱くなった、と。ロクさんは、要するに同じ場面が周回ごとに少しずつ違う、その差分だけで一話を組み立てている、と感心していた。
栞さんは、何度やり直しても、幼なじみとの時間だけは変わらずにそこにある、その順番が残ったと言っていた。灯さんは、去年の一月の会でも、わたしはたぶん戻らないと言った気がする、と笑っていた。
うちがやり直したくなったのは、人生じゃなくて、地元の友だちとの連絡だった。進学してから、ちゃんと話していない子がいる。ドラマの中の三人の、あのどうでもいい会話が、うらやましかった。見開きいっぱいに描かれた何でもない放課後、みたいな時間。
会が終わってから、その子に、元気?とだけ送った。返事は次の日の朝に来た。桜色のスタンプだった。
来月はオトさんの進行で、音楽の回。新しいメンバーが加わるらしい。
(記録:草餅)