第1巻を読み終えて、わたくしが真っ先に欲しくなったのは、高校の購買で昼休みに奪い合った、あの焼きそばパンでありました。作中に出てくるわけではありません。ただ、あの頃の昼休みの匂いが、頁のあいだから立ちのぼってきたのです。
五月の感情浴会は、高松美咲の漫画『スキップとローファー』。進行は凪で、わたくしは加わって四か月目にして、はじめて記録を任されました。十人のうち、この夜は九人。めじろは連休の疲れが出たそうで、お休みです。
地方の小さな町で育った、少しずれたところのある真面目な女の子が、東京の高校に進学する。入学式の日に道に迷い、そこで出会った同級生の男の子と一緒に、学校へ駆けこむ。そこから始まる、ひとつのクラスの一年間の話です。今回は第2巻まで。
ときめいた場面は、恋の場面とは限りませんでした。
凪は、主人公が、誰かの言葉をまっすぐ受けとりすぎて、相手のほうが照れてしまう場面が好きだと言っていました。何回読んでも、ここ、本当に、と繰り返していました。栞は、クラスの女の子たちの距離が少しずつ縮まっていく順番の話。はるまきは、主人公の親戚の大人の描き方に、ひとり深くうなずいていました。
わたくしがときめいたのは、主人公が教室で、誰かとはじめてお昼を一緒に食べる場面です。机をくっつける音が聞こえてくるようでした。ひとくち目を口に運ぶまでの、あのぎこちなさ。ときめきとは、案外、お弁当のふたを開ける瞬間に似ているのかもしれません。
会のあと、コンビニで焼きそばパンを探しましたが、見つかりませんでした。代わりに買ったコロッケパンを、台所で立ったまま食べました。
(記録:ぬか)