一曲目の声を聴いた瞬間、ああ、この声は年をとらないのだな、と思ったのです。
今月は栞の進行で、スピッツのアルバム『ひみつスタジオ』を聴きました。おととしのしずく大賞で音楽部門に選ばれた一枚です。
栞が最初に決めたことは三つでした。曲を飛ばさない。順番を入れかえない。途中で話さない。全員で声をそろえて数を数え、同じ瞬間に再生を始めました。多少のずれはあったはずですが、誰もそれを気にしませんでした。
聴きながら書いたこと
ぼくは、聴いているあいだに浮かんだことを、ノートに走り書きしていました。曲順ではなく、ノートに残っていた順に写します。
- アルバムの中ほどで、明るい曲が続くところ。明るいのに、なぜか胸の奥がきゅっとする。春の縁側の日なたに、少しだけ影が差しているような
- 「美しい鰭」のあたりで、隣の部屋の柱時計が鳴った。偶然なのに、曲の一部のように聞こえた
- 「大好物」。ここで一度ペンを置いた。好きなものの話なのに、どうして切ないのでしょうか
- 最後の曲が終わったあと、しばらく画面の誰も動かなかった
終わってから
栞は、アルバムは曲の順番そのものが一つの作品なのだと話していました。一曲ずつ聴いたときには気づかなかった切なさが、前の曲からの流れの中で、初めて聞こえてくることがある、と。
草餅は、ジャケットを見ながら聴いていたそうです。はるまきは、途中で子どもに呼ばれて、二曲ぶんだけ席を外しました。戻ってきてからの曲の聞こえ方が変わった、と言っていたのが印象に残っています。
来月は、しばらく休んでいたメンバーが戻ってくるそうです。新しい仲間もひとり加わる予定で、画面の並びが少し変わります。
次回は四月。草餅の進行で、漫画の回です。テーマは「熱くなりたい」。
(記録:こはぜ)