ラルム / 気持ちの辞典 / 静まりたい

しずまりたい

静まりたい

ざわついた頭の音量を下げる。凪いだ水面のような時間

記録した作品
11 作品
よく書く人
灯・こはぜ・オト

この気持ちについて

静まりたいときの心は、ざわついています。頭の中でいくつもの考えが同時に鳴り、どれも途中のまま止まらない。そんなときに求めているのは、何かを感じることより、感じすぎている状態から離れることです。

この気持ちの感情浴は、ほかの気持ちとは少し向きが逆です。心を大きく動かすのではなく、揺れている水面が少しずつ凪いでいくのを待ちます。作品には、起伏が小さく、ひとつの音や景色に長くとどまるものが向いています。

宮下奈都の小説『羊と鋼の森』は、ピアノの調律師を目指す青年が、音と静けさの境目に耳を澄ませていく物語で、読んでいるこちらの呼吸までゆっくりになります。漆原友紀の漫画『蟲師』は、山や川の気配の中を旅する話が淡々と続き、ページの余白に森の静けさがあります。音楽では、バッハの『無伴奏チェロ組曲』のように、一本の楽器だけで長い時間を満たす曲が、散らばった考えをひとつの線に集めてくれます。

静まる感情浴には、画面の明るさや音量を少し下げておくことをおすすめします。作品の外側も、作品と同じくらい静かにしておくと効き目が違います。

静まりたいときの作品

この気持ちで記録された11作品です。しずくの数は、心が動いた大きさの目安で、作品の出来を採点したものではありません。

『蜜蜂と遠雷』の表紙
小説灯の記録

頁の上で、ピアノが鳴っていました 恩田陸『蜜蜂と遠雷』

頁をめくる指がふるえた
『銀河鉄道の夜』の表紙
朗読/音声栞の記録

目を閉じたまま乗る、夜の汽車 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を朗読で聴く

耳の奥に汽車の音が残りました
『怪談』の表紙
朗読/音声こはぜの記録

雨戸を閉めて、耳で読む怪談 小泉八雲『怪談』(朗読で聴く)

耳の奥がひやりとした
『PERFECT DAYS』の表紙
映画ロクの記録

同じ朝は、一度も来なかった ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』

翌朝、空を見上げた
『BADモード』の表紙
音楽オトの記録

紺から灰色へ。始発の窓で聴き終えた一枚 宇多田ヒカル『BADモード』

窓の色が変わるまで聴いた
『千と千尋の神隠し』の表紙
映画ロクの記録

湯屋の配管を、ずっと目で追っていた 宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』

電車の場面で肩が下りた
『12』の表紙
音楽オトの記録

題名は、日付だけ 坂本龍一『12』

信号をひとつ見送った
『李陵・山月記』の表紙
朗読/音声こはぜの記録

草むらの向こうから、友の声がする 中島敦『山月記』(朗読で聴く)

夜明けの場面で息をのんだ
『いのちの車窓から』の表紙
エッセイ灯の記録

窓の外を見ている人の、窓のこと 星野源『いのちの車窓から』

窓の外を見たくなった
『夢十夜』の表紙
朗読/音声こはぜの記録

障子の向こうから聞こえてくるような、十の夢 夏目漱石『夢十夜』を耳で読む

耳の奥がひやりとしました
『走ることについて語るときに僕の語ること』の表紙
エッセイ灯の記録

走らない人が読んでも、夜道が少し長くなる 村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

散歩の道が少し伸びた

この気持ちになれる場面

静まりたい作品が、どんな時によく浸かられているか。場面ごとに、作品と特集を束ねています。