ラルム / 作品の記録
作品の記録
感情浴会で出会った作品を、心が動いた場面とともに残しています。しずくの数は、心が動いた大きさです。

読み聞かせの途中で、声がつまってしまった絵本 『ないた赤おに』
読む声がつまった

卵ひとつの重さを、十五巻かけて量りなおす 荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』
卵を割る前に手が止まった

炊きたてのごはんのような主人公に、ほっぺたがゆるむ 高松美咲『スキップとローファー』
ほっぺたがゆるみました

『MIU404』 メロンパン号に乗ったつもりで、最終話まで走っちゃいました
翌朝まで胸が熱かった

頁の上で、ピアノが鳴っていました 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
頁をめくる指がふるえた

『きのう何食べた?』の台所には、段取りという名の気づかいがある
買い物袋を詰め直した

紺から灰色へ。始発の窓で聴き終えた一枚 宇多田ヒカル『BADモード』
窓の色が変わるまで聴いた

最終回の一つ前で、画面がにじんで見えなくなった 『宇宙よりも遠い場所』
息ができなくなった

走らない人が読んでも、夜道が少し長くなる 村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』
散歩の道が少し伸びた

たった一行で、島の見取り図が書き換わる 綾辻行人『十角館の殺人』
最初の頁に戻った

六つの部屋の見取り図は、なぜ最後に描き変わるのか 一穂ミチ『スモールワールズ』
表紙をもう一度見た

押し入れの段ボールから、ふたりのナナが出てきた 矢沢あい『NANA』
押し入れの前で座りこみました

明るすぎる曲を、夜勤明けの国道で 藤井風「きらり」
歩く速さが少し変わった

目を閉じたまま乗る、夜の汽車 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を朗読で聴く
耳の奥に汽車の音が残りました

夜勤明けに、小説でできた音を YOASOBI『THE BOOK』
足取りが少し速くなった

元夫が三人、みんなちょっとずつ好きになっちゃう 『大豆田とわ子と三人の元夫』
最終回のあと、台所で立ったまま

客の来ない食堂で、肩の力が抜けていく 映画『かもめ食堂』
肩がすとんと落ちました

『花束みたいな恋をした』 五年分の骨組みが、少しずつずれていく
骨組みがきしむ音がした

明け方の渋谷が青く見えた日から 『ブルーピリオド』
背中が熱くなった
名前も知らない誰かと、山を目指した二時間 『風ノ旅ビト』
コントローラーを置いた

唐揚げのレモン一個で、四人のことが好きになる 坂元裕二脚本『カルテット』
揚げものの手が止まった

春が来る前に、泣く準備をしておく漫画 新川直司『四月は君の嘘』
最終巻は三回に分けて読んだ

洗濯物をたたみながら、にやけてしまうドラマ 『逃げるは恥だが役に立つ』
頬がずっとゆるんでた

「普通」の見取り図は、誰が描いたのか 村田沙耶香『コンビニ人間』
読み終えてからずっと考えている