家族がみんな寝たあと、揚げものの油を片づけながら、第1話を流しました。
油こし紙をたたむ手が、途中で完全に止まってました。気づいたら、流し台にもたれて画面を見てたんです。
『MIU404』は、警察の「機動捜査隊」を描いたドラマです。事件が起きたとき、真っ先に現場へ駆けつけて、初動の捜査をする人たち。二十四時間で交代する、いわば警察の救急隊みたいな部署なんですよね。
組まされたのは、野生の勘と体力で動く伊吹と、理屈で動いて誰も信用していない志摩。性格が真逆の二人です。そして、ちゃんとした覆面の車が足りなくて、二人が乗ることになったのが、移動販売のパン屋さんの車。通称、メロンパン号です。
いや、ほんとに、この設定だけでずるいですよね。
はるまきが好きな回
ほとんどの回は、一話でひとつの事件が片づきます。
でも、すっきり片づくだけじゃないのが、このドラマなんです。事件を起こした人にも、巻きこまれた人にも、そこに至るまでの「分かれ道」がある。誰と出会ったか、誰に止めてもらえたか。そのたった一つの違いで、人の人生の行き先が変わってしまう。このドラマは、それを何度も何度も描きます。
はるまきがいちばん胸に来たのは、高校生たちの嘘の通報をめぐる回でした。いたずらみたいに始まったことが、どんどん取り返しのつかないほうへ転がっていく。伊吹と志摩が、その子たちの前で何を言うか。ここは観て確かめてほしいです。子どもを育ててる身としては、観終わったあと、しばらく二階の子ども部屋のほうを見てました。
志摩の過去が明かされる回も、忘れられません。いつも皮肉ばっかり言ってる人が、ほんとは何を抱えてたのか。台所で言うと、鍋の底にこびりついたままのものを、やっと一晩かけてふやかすような回です。
二人の掛け合い
それから、伊吹と志摩の、くだらない言い合いです。
車の中で、どうでもいいことで張り合う。伊吹が野生の勘で突っ走って、志摩が理屈で止めて、結局二人とも走り出す。この掛け合いがあるから、重たい回でも、はるまきは最後まで観られました。重たい煮物の横に、浅漬けがちょこんと置いてある感じです。
すっきりする、の意味
このドラマの「すっきり」は、悪い人がやっつけられるすっきり、とはちょっと違うんです。
伊吹と志摩は、間に合わないこともある。助けられないこともある。でも、間に合うかもしれない誰かのために、二人はまた車に乗る。その背中を観てると、こっちも、明日もう一回ちゃんとやろう、って思えるんですよね。
しずくは四つにしました。胸が熱くなって、翌朝までそれが残ってました。
誰に
- 仕事で「間に合わなかった」ことを、ずっと引きずってる人
- 相棒とか、同僚とうまくいってない人
- 刑事ものは怖そう、と思ってる人。暗い回もありますけど、二人の掛け合いで何度も笑えます
いつ
一話ずつ、疲れた平日の夜に。……と言いたいところなんですけど、正直に書くと、はるまきは週末に止まらなくなって、一晩で三話観ちゃいました。一気見した翌朝はいつも後悔するんですけど、この作品のときだけは、あんまり後悔しませんでした。
休日の朝に最終話を観るのもおすすめです。観終わってすぐ、外を走りたくなりますよ。
作品データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | MIU404(テレビドラマ) |
| 脚本 | 野木亜紀子 |
| 出演 | 綾野剛、星野源 |
| 媒体 | ドラマ |
| 放送 | 2020年6月〜9月 |
| 話数 | 全11話 |
| 主題歌 | 米津玄師「感電」 |
近い気持ち
会でこのドラマの話をしたとき、ヤギが、ゲームの分岐みたいだ、と言ったんです。はるまきには、それがいちばん分かりやすい説明でした。
(記録:はるまき)
