
「わかる」と言えなくなる本 朝井リョウ『正欲』
揺れるより先に、黙った

語り手の声が、ずっと少しだけ笑っている 宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
声に出して読みたくなった

四十年ぶんの、水車の音 津村記久子『水車小屋のネネ』
閉じたあと、しばらく膝に置いていた

地下の方舟で、誰を残すのか 夕木春央『方舟』
閉じてから寒気が来た

頁の上で、ピアノが鳴っていました 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
頁をめくる指がふるえた

たった一行で、島の見取り図が書き換わる 綾辻行人『十角館の殺人』
最初の頁に戻った

六つの部屋の見取り図は、なぜ最後に描き変わるのか 一穂ミチ『スモールワールズ』
表紙をもう一度見た

「普通」の見取り図は、誰が描いたのか 村田沙耶香『コンビニ人間』
読み終えてからずっと考えている

『夏の庭 The Friends』 見張るはずだった夏が、通う夏に変わる
しばらく動けなかった