ラルム / 作品の記録
作品の記録
感情浴会で出会った作品を、心が動いた場面とともに残しています。しずくの数は、心が動いた大きさです。

迷宮の底で、土鍋の湯気を見ていた 九井諒子『ダンジョン飯』
夜中に土鍋を出した

百七十五分、瞬きの回数を数えそこねた 李相日監督『国宝』
席を立つのが一番最後になった

半年かけて、あんぱんを一個食べきった 連続テレビ小説『あんぱん』
最終週は朝から効いた

雨戸を閉めて、耳で読む怪談 小泉八雲『怪談』(朗読で聴く)
耳の奥がひやりとした

野田サトル『ゴールデンカムイ』 雪の森から、とんとんと音がする
汁をすする音まで聞こえた

二十二分ごとに、太陽が終わる 『Outer Wilds』
焚き火の前で動けなくなった

毒見役の子が、毒の話のときだけ目を輝かせる 『薬屋のひとりごと』第2期
通学の電車で三回くらい笑った

「わかる」と言えなくなる本 朝井リョウ『正欲』
揺れるより先に、黙った

遅すぎるなんて、誰が決めたんだろう つるまいかだ『メダリスト』
見開きのたびに息を止めた

きらきらの裏側を、十六冊ぶん 赤坂アカ・横槍メンゴ『【推しの子】』
一巻で三回止まった

桃の缶詰を開ける前に、もう笑っていた さくらももこ『もものかんづめ』
夜食の箸が止まった

分かりあえないまま、同じ台所に立つ ヤマシタトモコ『違国日記』
分からないままで、いい

別れた二人が、同じ食卓で言い合う冬 坂元裕二脚本『最高の離婚』
笑った回数より、黙った時間のほうが長い

大きなたまごは、はこべなかった 中川李枝子・大村百合子『ぐりとぐら』
あたしもおなかがすいた

いや、ほんとに、こういう職場があったらいいのに 『夜明けのすべて』
洗濯物をたたむ手が止まった

草むらの向こうから、友の声がする 中島敦『山月記』(朗読で聴く)
夜明けの場面で息をのんだ

半年ぶんの朝の、最初の一分 米津玄師「さよーならまたいつか!」
曲のあとの一呼吸が残りました

『マイ・ブロークン・マリコ』 骨箱を抱いて、夜行バスの窓側に
膝の上が重たかった

将棋のルールを知らないまま、五巻で本を伏せた 羽海野チカ『3月のライオン』
五巻で本を伏せた

同じ朝は、一度も来なかった ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』
翌朝、空を見上げた

語り手の声が、ずっと少しだけ笑っている 宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
声に出して読みたくなった

片思いの置いていき方を、美大の片すみで知った 羽海野チカ『ハチミツとクローバー』
自転車のうしろ姿で、めくる手が止まった
木に引っかかった瞬間、勝負はついていた 『愛の不時着』
来週まで待てなかった

何回観ても、流星の夜で喉がつまる 『葬送のフリーレン』
声が出なくなった