ラルム / 作品の記録
作品の記録
感情浴会で出会った作品を、心が動いた場面とともに残しています。しずくの数は、心が動いた大きさです。

きらきらの裏側を、十六冊ぶん 赤坂アカ・横槍メンゴ『【推しの子】』
一巻で三回止まった

桃の缶詰を開ける前に、もう笑っていた さくらももこ『もものかんづめ』
夜食の箸が止まった

分かりあえないまま、同じ台所に立つ ヤマシタトモコ『違国日記』
分からないままで、いい

別れた二人が、同じ食卓で言い合う冬 坂元裕二脚本『最高の離婚』
笑った回数より、黙った時間のほうが長い

大きなたまごは、はこべなかった 中川李枝子・大村百合子『ぐりとぐら』
あたしもおなかがすいた

いや、ほんとに、こういう職場があったらいいのに 『夜明けのすべて』
洗濯物をたたむ手が止まった

草むらの向こうから、友の声がする 中島敦『山月記』(朗読で聴く)
夜明けの場面で息をのんだ

半年ぶんの朝の、最初の一分 米津玄師「さよーならまたいつか!」
曲のあとの一呼吸が残りました

『マイ・ブロークン・マリコ』 骨箱を抱いて、夜行バスの窓側に
膝の上が重たかった

将棋のルールを知らないまま、五巻で本を伏せた 羽海野チカ『3月のライオン』
五巻で本を伏せた

同じ朝は、一度も来なかった ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』
翌朝、空を見上げた

語り手の声が、ずっと少しだけ笑っている 宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
声に出して読みたくなった

片思いの置いていき方を、美大の片すみで知った 羽海野チカ『ハチミツとクローバー』
自転車のうしろ姿で、めくる手が止まった
木に引っかかった瞬間、勝負はついていた 『愛の不時着』
来週まで待てなかった

何回観ても、流星の夜で喉がつまる 『葬送のフリーレン』
声が出なくなった

泣けなかった、でもずっと考えている 宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』
まだ考え中

『BLUE GIANT』の河原には、雪が降っていた
指が勝手に動いた

火事の夜が、三回映る 是枝裕和監督『怪物』
二回目で、最初の場面が違って見えた

四十年ぶんの、水車の音 津村記久子『水車小屋のネネ』
閉じたあと、しばらく膝に置いていた

雨の田んぼ道で跳ねる、あのコマのこと 藤本タツキ『ルックバック』
見開きで本を閉じた

窓の外を見ている人の、窓のこと 星野源『いのちの車窓から』
窓の外を見たくなった

落ちている時間が、いちばん長かった 『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』
着地まで息を止めていた

鉛筆の線が五人になって、コートへ歩いてくる 『THE FIRST SLAM DUNK』
背中がずっと熱かった

富士山より高い雪原で、ラーメンが切れる 映画『南極料理人』
腹が鳴った