なつかしみたい
懐かしみたい
もう戻れない季節を、作品の中でもう一度だけ歩いてみる
- まとまり
- 振り返る・想う
- 記録した作品
- 10 作品
- 近い気持ち
- 切なくなりたい・誰かに会いたくなりたい・やり直したくなりたい
この気持ちについて
懐かしさは、もう戻れないと分かっている場所へ、少しだけ戻る感覚です。子どもの頃の夏休み、放課後の帰り道、家族がみんな同じ家にいた頃。思い出すだけで胸が温かくなり、同時に少しだけ痛みます。
この気持ちの感情浴では、作品に描かれた誰かの過去を入口にして、自分の過去へ降りていきます。舞台が自分の育った土地とまったく違っても、夕方の光や、蝉の声や、台所から聞こえる音のような細部が、自分の記憶の扉を開けてくれます。
高畑勲監督のアニメ映画『おもひでぽろぽろ』は、大人になった主人公が小学五年生の自分を思い出しながら旅をする物語で、観る側もいつのまにか自分の五年生の頃を探しています。映画『スタンド・バイ・ミー』は、少年たちの短い旅を、大人になった語り手の目で振り返ります。ゲーム『ぼくのなつやすみ』は、ひと夏を田舎で過ごす体験そのものを遊ばせてくれる作品です。
懐かしさは、ひとりで浸かっても、同じ時代を過ごした誰かと分け合っても味わいが変わる気持ちです。
懐かしみたいときの作品
この気持ちで記録された10作品です。しずくの数は、心が動いた大きさの目安で、作品の出来を採点したものではありません。

四十年ぶんの、水車の音 津村記久子『水車小屋のネネ』
閉じたあと、しばらく膝に置いていた

『夏の庭 The Friends』 見張るはずだった夏が、通う夏に変わる
しばらく動けなかった

十九歳の最初の一枚を、秋の窓辺で 荒井由実『ひこうき雲』
最後の短い一曲が、ずっと沈んでいました

夏になると、あの長い食卓に帰りたくなる 細田守監督『サマーウォーズ』
電話の場面で背中が熱くなった

雨戸を閉めて、耳で読む怪談 小泉八雲『怪談』(朗読で聴く)
耳の奥がひやりとした

生まれる前のゲームで、家に電話をかけたくなった 『MOTHER2 ギーグの逆襲』
家に電話をかけたくなった

押し入れの段ボールから、ふたりのナナが出てきた 矢沢あい『NANA』
押し入れの前で座りこみました

『花束みたいな恋をした』 五年分の骨組みが、少しずつずれていく
骨組みがきしむ音がした

桃の缶詰を開ける前に、もう笑っていた さくらももこ『もものかんづめ』
夜食の箸が止まった

段ボールのロボットに、大人まで振りまわされる 『よつばと!』
声を出して笑った
近くにある気持ち
懐かしみたい気持ちのとなりにある言葉です。少し違う角度から浸かりたいときに。