この気持ちについて
この気持ちは、24の中でも少し変わった形をしています。何かを感じたいのではなく、作品を浴びたあとに誰かに会いたくなりたい。しばらく連絡をとっていない家族や友人の顔が、ふと浮かぶような体験を求める気持ちです。
忙しさの中では、大切な人のことを思い出す時間さえ後回しになりがちです。この気持ちの感情浴は、その後回しを一度止めて、誰かのことを考える時間を作品に用意してもらうものだと言えます。
小津安二郎監督の映画『東京物語』は、年老いた両親が子どもたちを訪ねる短い旅を描き、観終えると自分の親の声が聞きたくなる作品として長く観られてきました。辻村深月の小説『ツナグ』は、亡くなった人と一度だけ会えるという仕組みを通して、会えるうちに会うことの重さを伝えます。スーザン・バーレイの絵本『わすれられないおくりもの』は、いなくなった者が残していったものを、残された者たちが語り合う物語です。
この気持ちの感情浴は、終わったあとに本当に誰かへ連絡してみて、はじめて完結します。短い言葉でかまいません。
誰かに会いたくなりたいときの作品
この気持ちで記録された8作品です。しずくの数は、心が動いた大きさの目安で、作品の出来を採点したものではありません。

何回観ても、流星の夜で喉がつまる 『葬送のフリーレン』
声が出なくなった

最終回の一つ前で、画面がにじんで見えなくなった 『宇宙よりも遠い場所』
息ができなくなった

夏になると、あの長い食卓に帰りたくなる 細田守監督『サマーウォーズ』
電話の場面で背中が熱くなった

朝の体育館って、こんなに光ってたっけ 『アオのハコ』
一話目を三回リピートした

梅酒で酔った夜から、四人目の妹になる 吉田秋生『海街diary』
梅の実の色がしみた

生まれる前のゲームで、家に電話をかけたくなった 『MOTHER2 ギーグの逆襲』
家に電話をかけたくなった

押し入れの段ボールから、ふたりのナナが出てきた 矢沢あい『NANA』
押し入れの前で座りこみました

碁のルールを知らないまま、白と黒の石に背中を熱くされた 『ヒカルの碁』
一局も分からないのに汗をかいた
この気持ちになれる場面
誰かに会いたくなりたい作品が、どんな時によく浸かられているか。場面ごとに、作品と特集を束ねています。
この気持ちの特集
メンバーが作品を持ち寄った特集です。
近くにある気持ち
誰かに会いたくなりたい気持ちのとなりにある言葉です。少し違う角度から浸かりたいときに。