学園祭の準備で、大学に夜まで残っていた日。休憩のあいだに、スマホで一巻を開きました。気づいたら、休憩が三十分のびていました。
中学生のころ、アニメを少しだけ観ていた作品です。そのときは、途中で止まったままでした。漫画で読むのは、今回が初めて。
学校の顔、家の顔
堀さんは、高校のクラスの人気者です。明るくて、見た目も派手で、友だちも多い。
でも家に帰ると、洗濯物を取りこんで、夕飯を作って、小さな弟の面倒をみている。親が仕事で忙しいから。学校の友だちには、その顔を見せていません。
宮村くんは、同じクラスの、目立たない男の子。眼鏡で、おとなしくて、休み時間はだいたいひとり。
ある日、堀さんの弟がけがをして、家まで送り届けてくれた人がいました。玄関に立っていたのは、耳にいくつもピアスをあけた、知らない男の子。……と思ったら、それが宮村くんだった。
堀さんのほうも、家ではけっこう容赦ないです。弟を叱るし、宮村くんにも遠慮なくつっこむ。学校のきらきらした堀さんと、家の堀さん。どっちも本物なんだな、と思いました。
学校では誰も知らない顔を、お互いにだけ知っている。そこから、二人の放課後が始まります。
最初の数話で、もうときめきました。宮村くんが、堀さんの家の居間に、当たり前みたいにいるんです。制服じゃない、ゆるい服で。弟にすっかりなつかれて、夕飯を一緒に食べたり。クラスではほとんど話さないのに、堀さんの家ではふつうに笑っている。
その差が、なんだかすごくいい。秋の夕方の、窓から入ってくる光みたいな感じかも。
何も起きない放課後
この漫画、大きな事件はほとんど起きません。
誰かが誰かを好きになって、ちょっとすれ違って、また戻ってくる。友だちが増えて、みんなで帰り道にコンビニに寄る。それだけの巻もあります。でも、それがいいんです。
宮村くんのまわりに、少しずつ人が増えていくのが好きでした。最初はひとりだったのに、石川くんや吉川さん、生徒会長の仙石くんたちが、だんだん当たり前みたいに近くにいるようになる。
私がいちばんにやけたのは、会話の場面でした。堀さんと宮村くんが、どうでもいいことで言い合ってる。付き合っているのに、ぜんぜん甘くならない日もある。ちょっと意地悪を言って、言い返されて、笑う。そのテンポが、読んでいて楽しくて、同じ巻を二回読んでました。
帰りの電車で読んでいて、声を出して笑いそうになったことが三回あります。一回は、ほんとに声が出ました。隣の人が、ちらっとこっちを見ました。
それから、ちょっとだけ切ない話もあります。宮村くんが、中学のころ、ひとりだった時期のこと。今は楽しそうなのに、その前に何があったのか。重くは書かれていないけど、そういう話が挟まるたびに、今の放課後が大事に見えてきます。
気づいたら、全部読んでいました。完全に沼でした。
- 学校と家で、ちょっと違う自分がいる人
- 恋愛ものの、じれったすぎるのは苦手な人。この二人、わりと早く近づきます
- 高校の友だちに、最近会えていない人
通学の電車で一巻ずつ。秋の、日が短くなってきたころが合う気がします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | ホリミヤ |
| 原作 | HERO(ウェブ漫画『堀さんと宮村くん』) |
| 作画 | 萩原ダイスケ |
| 連載 | スクウェア・エニックス「月刊Gファンタジー」(2011年〜2021年) |
| 巻数 | 全17巻 |
| アニメ | 2021年1月からテレビアニメが放送 |
近い気持ち
- ときめきたい……放課後の居間に、宮村くんがいる
- 笑いたい……付き合っていても、ぜんぜん甘くならない会話
- 誰かに会いたくなりたい……少しずつ増えていく、宮村くんのまわりの人
読み終わってから、アニメの続きを観るか、漫画をもう一周するか、まだ決められずにいます。たぶん、両方かも。
