ラルム / 作品の記録

2026.10.15媒体 音楽記録 いちょう

一曲目のイントロで、まだ自転車をこいでいた Ado『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』

試験の朝、二曲目で顔を上げた
『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』の表紙
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先週、試験の朝。駅まで自転車をこぎながら、イヤホンで一曲目を流していました。気づいたら、ペダルが曲の速さになってました。

四年前の夏

このアルバムを最初に聴いたのは、高校一年の夏です。

部活の友だちと、映画『ONE PIECE FILM RED』を観に行きました。四人で。正直、私はそのとき、ONE PIECEをそんなに知らなかったんです。友だちに誘われて、なんとなく。

映画の中心にいるのは、ウタという歌手の女の子です。世界中で大人気で、その子がはじめて、みんなの前でライブをする。その歌の声を担当しているのが、Adoさんでした。

映画館を出たあと、四人とも、しばらくあまり話しませんでした。帰りの電車で、誰かがスマホでアルバムを流しはじめて、片耳ずつイヤホンを分けて聴いた。それがこの一枚との出会いです。

七人が書いた七曲

アルバムには、映画の中でウタが歌う七曲が入っています。

あとで知って驚いたのは、七曲とも、書いた人がぜんぶ違うことです。一曲目の「新時代」は中田ヤスタカさん。二曲目の「私は最強」はMrs. GREEN APPLE。三曲目の「逆光」はVaundyさん。そのあとも、一曲ごとに別の人が書いている。

なのに、歌っているのは一人。

だから、一曲ごとに、声の色がぜんぜん違うんです。明るくて、まっすぐで、空に向かって伸びていく声もあれば、急に低くなって、怒っているみたいな声もある。同じ人の声なのに、気づいたら、何人もの人に会ったような気持ちになってました。

元気の出る順番

私がいちばん元気をもらうのは、最初の三曲です。

一曲目は、始まりの曲。イントロだけで、何か大きなことが始まる感じがする。映画のときは、ここで客席の空気が変わったのを覚えてます。

二曲目の「私は最強」は、試験の朝の曲です。私の中では。

歌詞の説明はしないけど、聴いていると、背中のまんなかに一本、まっすぐな棒が入るような感じがします。駅の階段をのぼるときに、ちょうどサビが来るように、家を出る時間を調整してます。ちょっと恥ずかしいけど、ほんとです。

三曲目で、熱くなる。速くて、強くて、聴き終わるころには、手のひらが少し熱いかも。

後ろの四曲

でも、このアルバムは、元気な曲だけじゃないんです。

真ん中あたりから、だんだん暗くて、不思議な曲になっていく。最後の二曲は、静かな曲です。ウタが、ほんとうに言いたかったことを、ひとりで歌っているような曲。

映画の話にはあまり触れないでおきます。ただ、最後の曲が終わると、私はいつも、あの夏の帰りの電車を思い出します。片耳ずつ分けたイヤホン。窓の外の夕方。四人とも、いまは別々の大学にいて、全員でそろうことは、もうあまりありません。

ちょっと会いたくなって、この前、グループに一曲目のリンクだけ送りました。すぐに三人から、スタンプが返ってきました。


浴びてほしい人

  • 試験や発表の前に、背中を押してくれる一曲がほしい人
  • 映画を観た人。もう一度アルバムで通すと、ウタの声が別の場所から聴こえます
  • 昔、誰かと片耳ずつイヤホンを分けたことがある人

浴びる時間

移動中に。とくに朝の通学や通勤の電車、自転車。試験の前の日の夜は、最初の三曲で止めるのがおすすめです。最後まで聴くと、ちょっとしんみりして、勉強に戻れなくなるかも。

作品データ

項目 内容
作品名 ウタの歌 ONE PIECE FILM RED
歌 Ado
発売 2022年8月
曲数 7曲(映画『ONE PIECE FILM RED』の主題歌と劇中歌)
曲を書いた人 中田ヤスタカ、Mrs. GREEN APPLE、Vaundy、FAKE TYPE.、澤野弘之、折坂悠太、秦基博

近い気持ち

会では取り上げていません。栞さんに「一枚を通して聴くと、曲と曲のあいだに物語がある」と教わってから、シャッフルをやめて、最初から最後まで聴くようにしています。

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