上映時間は百七分。そのあと、僕はもう一度、最初から観た。
一度目は驚いた。二度目は、別の理由で手が止まった。
秋のフィラデルフィア
主人公は、マルコム・クロウという児童心理学者だ。ブルース・ウィリスが演じている。
ある夜、彼の身に、取り返しのつかないことが起きる。それから時間がたって、彼は一人の少年の担当になる。コール・シアー、八歳。ハーレイ・ジョエル・オスメントが演じている。
コールは、学校でも家でも浮いている。おびえている。誰にも言えない秘密を抱えている。やがて彼は、マルコムにだけ打ち明ける。死んだ人が見える、と。
これは公式のあらすじにも書いてある。ここまでは書いていい。
寒い部屋
要するに、怖い映画だ。ただ、大きな音で驚かせる種類ではない。
画面の端に、気をつけて観てほしい。部屋の温度が下がる場面がある。吐く息が白くなる。寒い、というだけで、こんなに体が固まるのかと思った。
カメラは、よく少年の目の高さまで下がる。大人の背中が、壁のように映る。八歳の子にとって、家の廊下はこれくらい長いのだと分かる。
母と子
僕がいちばん長く覚えているのは、怖い場面ではない。コールと母親の場面だ。
母親は、トニ・コレットが演じている。ひとりで息子を育てている。息子が何かに苦しんでいるのは分かる。けれど、何なのかが分からない。分からないまま、毎日を回している。
車の中で、二人が話す場面がある。何を話すかは書かない。僕はそこで、二度とも、少し前のめりになった。
この映画が怖いだけで終わらないのは、この母子がいるからだと思う。
二度目の映画
結末は書かない。公開から二十七年たっていても、書かない。
ひとつだけ。この映画は、二度観るように組み立てられている。一度目は、物語の機械が動くのを見る。二度目は、その機械の骨組みを見る。同じ台詞、同じ部屋、同じ表情が、まったく違う意味で目に入ってくる。
最初に観たのは、ずいぶん前だ。筋は知っていた。それでも今回、二度目の再生で、前は気づかなかった配線を三本見つけた。
驚きたい人には、何も調べずに観てほしい。もう観た人は、もう一度観てほしい。どちらでも、損はさせない。
浴びてほしい人
- 怖い映画は苦手だが、血の出ない話なら観られる人
- どんでん返しの評判だけ知っていて、まだ観ていない人
- 昔観て、筋を覚えているつもりの人
浴びる時間
秋の夜に。できれば二晩つづけて。一晩目は驚くために、二晩目は確かめるために。眠れない夜に観ると、廊下の電気をつけたまま寝ることになる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | The Sixth Sense |
| 監督・脚本 | M・ナイト・シャマラン |
| 出演 | ブルース・ウィリス、ハーレイ・ジョエル・オスメント、トニ・コレット ほか |
| 公開 | 1999年(日本は1999年10月) |
| 上映時間 | 107分 |
近い気持ち
ハロウィンの近い週に、夜中に観た。夜勤明けの昼間に観ればよかった、と少しだけ思った。
