ラルム / 作品の記録

2026.10.28媒体 ドラマ記録 はるまき

柔道をやめた新人が、漫画の編集部を全力で走る テレビドラマ『重版出来!』

洗濯物をたたむ手が、ちょっと速くなった
『重版出来!』の表紙
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子どもたちが寝たあと、たたみかけの洗濯物を横に置いて、第1話を再生しました。

はじめは、たたみながら観るつもりだったんです。気づいたら、靴下が片方だけ手に残っていました。

タカノツメさんの「三度目」

このドラマを観ようと思ったのは、二年前のしずく通信がきっかけです。

秋の号で、タカノツメさんが「三度目だけど、第1話の最後でまたしびれた」と書いていました。編集をしているのに、はるまきはそのとき観ていなかったんですよね。いや、ほんとに、ずっと気になっていました。

今月、仕事の締め切りがひとつ片づいて、やっと観る時間ができました。

走る新人

主人公は、黒沢心という女の人です。黒木華さんが演じています。

心は、ずっと柔道をやってきた人です。けがで選手をあきらめて、出版社に入ります。配属されたのは、週刊の漫画雑誌の編集部。漫画は大好き。でも、編集の仕事のことは何も知りません。

とにかく、よく走るんですよね。廊下を走る。駅まで走る。漫画家さんの家まで走る。声も大きい。おじぎも深い。柔道の礼が、そのまま体に残っている感じです。

最初は、ちょっとまぶしすぎるかなと思いました。でも、二話目の途中くらいから、こっちの背中まで伸びてくるんです。

一冊の本のまわりの人たち

このドラマがいいのは、心だけの話じゃないところです。

ベテランの漫画家さんと、そのアシスタント。なかなか描けない新人。本を売る営業の人。書店の人。印刷所の人。一冊の漫画が読者に届くまでに、こんなにたくさんの人の手を通るんだ、と知りました。

回ごとに、その中の誰かに光が当たります。うまくいかない人の回もあります。報われない人の回もあります。

はるまきが好きなのは、営業の人が出てくる回でした。売り場で、本の並べ方ひとつに頭をひねる。地味な仕事ですよね。台所で、おかずの並べ方を毎朝考えるのと、ちょっと似ているなあと思いました。

自分の仕事のこと

観ながら、自分の仕事のことを何度か考えました。

家でできる仕事を、細かく引き受けています。誰かの名前で出るものを、少しずつ整える。それが最後にどこへ届いているのか、はるまきは、ほとんど知りません。

心は、知りに行くんです。自分が関わった本が、どこで、誰の手に渡るのか。それを知ると、また走れる。

しずく通信も、そうなのかもしれません。三十部くらいの冊子を、毎号、封筒に入れて送っています。届いた先で、誰かが一行でも読んでくれていたら、それでいいんだなあと思いました。

タカノツメさんの言っていた第1話の最後は、ここには書きません。はるまきも、しびれました。


浴びてほしい人

  • 仕事でへとへとになって、それでも明日また行かなきゃいけない人
  • 新しい職場や部署で、何も分からずにいる人
  • 漫画が好きで、作っている人たちのことを知りたい人

浴びる時間

仕事で疲れた日の夜に、一話ずつ。全10話なので、平日に一話ずつ観ると、ちょうど二週間で観終わります。一気見は、翌朝がつらいのでおすすめしません。

作品データ

項目 内容
放送 2016年4月〜6月(TBS系・火曜の夜10時)全10話
脚本 野木亜紀子
原作 松田奈緒子の漫画(小学館)
出演 黒木華、オダギリジョー、坂口健太郎 ほか

近い気持ち

観終えた次の日、タカノツメさんに「やっと観ました」と送りました。返ってきたのは「では四度目を観る」という一行だけでした。

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