ラルム / 作品の記録

2022.12.18媒体 アニメ記録 凪

湖のほとりで、二人でカップ麺をすする夜 『ゆるキャン△』

肩がすとんと下がった
『ゆるキャン△』の表紙
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冬の湖のほとりで、焚き火の前にひとりで座っているリンのところへ、なでしこが震えながらやってくる。第1話のその場面を、自分はもう何回観たか分かりません。

リンは、冬のキャンプ場にひとりで来ている高校生なんです。人の少ない季節を選んで、テントを張って、火をおこして、本を読む。その日の夕方、リンは、トイレの前のベンチで眠りこんでいる女の子を見かけている。それがなでしこで、富士山を見に自転車で来たのに、眠っているうちに日が暮れて、帰れなくなってしまったんですよね。

寒さと心細さで半泣きのなでしこに、リンはほとんどしゃべらないまま、火のそばを空けて、カップ麺を分けてあげる。湖の向こうに、夜の富士山がうっすら見えている。二人は並んで、湯気の立つ麺をすする。

自分はこの場面を観ていて、気づいたら肩がすとんと下がっていました。仕事帰りで、ずっと上がっていたんだと思います。

何も起きない、のありがたさ

『ゆるキャン△』は、山梨の高校生たちが、キャンプをしたり、キャンプの道具を見に行ったり、キャンプの計画を立てたりするだけのアニメです。

本当に、それだけなんです。泣かせにくる場面も、大きな事件も、ほとんどない。ふだん泣ける話と熱くなれる話ばかり探している自分にとっては、正直、最初は物足りないかもしれないと思っていました。

でも、観ているうちに分かってきたんです。この作品のいちばん大事なところは、何も起きないことそのものなんだって。

リンはひとりが好きです。なでしこは、みんなでわいわいするのが好き。二人のキャンプのしかたは全然違うのに、どちらかがどちらかに合わせろ、とは誰も言わない。リンがひとりでキャンプに出かけて、なでしこたちは別の場所でキャンプをしていて、その夜、それぞれの場所の夜景の写真を送り合う。一緒にいなくても、ちゃんとつながっている。ここ、本当に、何回観ても、うらやましいなと思います。

ごはんの場面

それから、とにかく食べものがおいしそうなんです。

冷えた体に、あったかい鍋。朝のキャンプ場で焼くパン。夜のテントの中で食べる、ちょっとした甘いもの。自分はふだん深夜にカップ麺ばかり食べているので、第1話のあの一杯は、ほとんど自分ごとでした。観終わったあと、やかんに火をかけてました。

しずくが二つの理由

しずくは二つにしました。自分の目安だと、声が出なくなるような揺さぶられ方ではないからです。

でも、しずくの数が少ないことは、効かないということじゃないと思っています。疲れきった夜に、声が出なくなるほどの作品は、正直きついこともある。そういう夜に、手を伸ばせる場所にずっと置いておきたい作品です。

誰に浴びてほしいか

  • ひとりの時間が好きなのに、それを少し後ろめたく感じている人
  • 仕事で疲れて、何も考えたくない人
  • 冬が苦手な人。観ると、寒さが少しだけ好きになります

いつ浴びるか

冬の、仕事で疲れた夜に一話ずつ。できれば、温かい飲みものか、カップ麺を用意してから。

ひとりの週末の昼間に、何話か続けて観るのもいいと思います。窓の外が寒そうな日ほど、よく効きます。

作品データ

項目 内容
作品名 ゆるキャン△(テレビアニメ)
原作 あfろの漫画(芳文社)
監督 京極義昭
制作 C-Station
媒体 アニメ
放送 2018年1月〜3月
話数 全12話
そのほか 2021年に第2期、2022年に劇場版

近い気持ち

十一月の感情浴会(第31回)で、草餅の進行で取り上げました。記録は自分が書いています。草餅が初めて進行した回で、候補を三つ出したとき、草餅がこれにしたいと言ってくれたのがうれしかったです。

(記録:凪)

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