最後の百ページ、紙をめくる指がずっと少し汗ばんでた。
今月は灯の進行で、浅倉秋成の小説『六人の嘘つきな大学生』。テーマは「驚きたい」。
ある会社の最終選考に残った六人の大学生。全員で内定を取るつもりで準備してきたのに、最終の話し合いの場に、誰かの秘密を書いた封筒が置かれていた。そこから、六人がお互いを疑いはじめる。
驚かせるタイプの本は、会で話すのが難しい。読み終えた人と、途中の人がいるから。そこで灯が、会を半分に分けた。
前半 誰でも参加
結末の話はしない。誰が怪しいと思ったか、も言わない。話したのは、読んでいるときの体の感じだけ。
凪は、会社の面接の場面で自分の就職活動を思い出して、胃が痛くなったそうだ。いちょうは、まだ半分しか読めていなくて、ここまでで一番こわいのは封筒の中身より、それを見た五人の顔、と言っていた。ここで一回、全員がうなずいた。
俺は、読みながら何度も前のページに戻ってた。あれ、この人さっき何て言ってたっけ、って。ゲームで、分かれ道の手前まで戻ってセーブをやり直す感じに近い。
後半 読み終えた人だけ
途中の人は、ここで抜けた。残ったのは八人。
中身は書かない。ただ、読み終えた八人のうち、途中で真相に気づいていた人は一人もいなかった。ロクでさえ外していた。要するに全員やられた、ということだ。
灯は最後に、たぶん、と前置きしてから、この本は驚かせるための本じゃなくて、人を一回で決めつけないための本だと思う、と言った。それで後半はおしまい。
今月は、しずく大賞の投票の月でもあった。会のあと、ロクからいつもの案内が来た。
次回は一月。はるまきの進行で、映画。テーマは「やり直したくなりたい」。
(記録:ヤギ)