ラルム / 感情浴会の記録

2022.10.16第30回テーマ ぞくっとしたい媒体 小説記録 オト進行 鹿の子

第30回 地下の一週間と、帰り道の街灯 『方舟』夕木春央

取り上げた作品 方舟(小説・夕木春央・2022年)

最後の数頁で背中が冷えた

日曜の午前四時。
夜勤明けの帰り道、最後の数十頁を、始発の中で読んだ。

十月の感情浴会。
進行は鹿の子。先月に続いて。
作品は、夕木春央の小説『方舟』。先月出たばかりの本。

山奥の地下にある古い建物に、何人かが閉じこめられる。
水が少しずつ入ってくる。
出るためには、誰か一人が残らなければならない。
そこで、人が死ぬ。

鹿の子の決まりは、前のミステリの回と同じ。
結末には、どんな形でも触れない。
なので、ここにも書かない。

十一人のうち十人。
はるまきは、子どもの学校行事の準備で欠席。

話したこと。

ロクは、閉じこめられた建物の間取りの話を、ずっとしていた。
図が頭に入ると、急に怖くなる、と。
凪は、途中から誰も信じられなくなって、登場人物の名前を紙に書いて並べたらしい。
ぬかは、水かさが一日ごとに増えていく描写がいちばん怖かった、と。
草餅は、最後の頁を読んだあと、しばらく本を閉じられなかった。

聞いていて、何度か背中が冷えた。
話しているのは結末の手前のことだけなのに。

始発の窓の外で、街灯がひとつずつ消えていくのを見ていた。
最後の頁をめくったのは、ちょうど三つ目の駅のあたり。
車内には、ほかに二人くらい。
誰も、こちらを見ていなかった。
それが、少しだけ怖かった。

追記。
会の翌日、灯から、二度目を読みはじめた、と連絡。
一度目とは、まったく違う本に見えるらしい。

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