日曜の午前四時。
夜勤明けの帰り道、最後の数十頁を、始発の中で読んだ。
十月の感情浴会。
進行は鹿の子。先月に続いて。
作品は、夕木春央の小説『方舟』。先月出たばかりの本。
山奥の地下にある古い建物に、何人かが閉じこめられる。
水が少しずつ入ってくる。
出るためには、誰か一人が残らなければならない。
そこで、人が死ぬ。
鹿の子の決まりは、前のミステリの回と同じ。
結末には、どんな形でも触れない。
なので、ここにも書かない。
十一人のうち十人。
はるまきは、子どもの学校行事の準備で欠席。
話したこと。
ロクは、閉じこめられた建物の間取りの話を、ずっとしていた。
図が頭に入ると、急に怖くなる、と。
凪は、途中から誰も信じられなくなって、登場人物の名前を紙に書いて並べたらしい。
ぬかは、水かさが一日ごとに増えていく描写がいちばん怖かった、と。
草餅は、最後の頁を読んだあと、しばらく本を閉じられなかった。
聞いていて、何度か背中が冷えた。
話しているのは結末の手前のことだけなのに。
始発の窓の外で、街灯がひとつずつ消えていくのを見ていた。
最後の頁をめくったのは、ちょうど三つ目の駅のあたり。
車内には、ほかに二人くらい。
誰も、こちらを見ていなかった。
それが、少しだけ怖かった。
追記。
会の翌日、灯から、二度目を読みはじめた、と連絡。
一度目とは、まったく違う本に見えるらしい。