子どもたちが寝たあと、網戸の向こうで虫が鳴きはじめた頃に、会の画面を開きました。台所には、読みながら飲もうと思って冷やしておいた麦茶。結局、最後まで口をつけませんでした。
三回目のみんなで観る会は、初めての小説の回です。作品は湯本香樹実の『夏の庭 The Friends』。観る会なのに読んでくるんですね、とはるまきが言ったら、ロクが、名前はそのうち考えよう、と返して、それで終わりました。いや、ほんとに、それで終わったんです。
小学六年生の男の子三人が、人が死ぬところを見てみたい、という理由で、近所のひとり暮らしのおじいさんを見張りはじめる。そこから始まるひと夏の話です。見張っているうちに、ごみ出しを手伝い、庭の草を抜き、いつのまにか、縁側で並んで話しこむ仲になっていく。
進行の灯は、少年たちが庭に花の種をまく場面を挙げました。種をまいた時点では、花が咲く頃に何が起きているか、誰も知らない。その順番がこわくて、きれいだったそうです。
凪は、三人がそれぞれの家に帰っていく場面の、夕方の空気がいちばん残ったと言っていました。十一は、庭に差す光の書かれ方の話を少しだけ。
はるまきは前の晩に読んでいて、おじいさんがだんだん身なりを整えていくところで、しばらくページをめくれませんでした。誰かに見られている、というだけで、人はちゃんとしようとするんですよね。それが見張られているのだとしても。
最後のほうについては、ここには書きません。ただ、読み終えた人はみんな、しばらく自分の子どもの頃の夏の話をしていました。ロクの家の近くには、いつも水をまいているおばあさんがいたそうです。栞は、夏休みの宿題の絵日記を、最後の三日でまとめて書いた話。
懐かしい、という気持ちは、作品の中の夏と自分の夏が重なったときに来るんですね。はるまきは、麦茶を飲むのを忘れていました。
次回は八月。進行はロクで、テーマは「ぞくっとしたい」。夜の回になりそうです。
(記録:はるまき)