日曜の夜、八時。雨上がりで、窓の外の道がまだ光っていました。
今月の作品
進行はタカノツメ。選んだのは、連続テレビ小説『虎に翼』です。おととしの春から秋まで放送されたドラマで、その年のしずく大賞でドラマ部門に選ばれています。
日本で初めて女性として法律の道に進んだ一人、猪爪寅子の話。放送は半年ぶんあるので、この夜は第1週と、最後の週だけを観てくることにしました。はじめと終わりだけを並べて観る。タカノツメらしい、少し芝居がかった決め方です。
はじめの週
第1話は、戦争が終わったあとの河原で、寅子が新聞を読む場面から始まります。そこから物語は、女学校の卒業を控えた寅子へと戻る。お見合いをすすめられ、はいと言えない。言えない理由が、自分でもまだうまく分からない。
わたしは、この戻り方が好きでした。先にいちばん遠い場所を見せてから、そこまでの道を歩かせる。少しだけ、時間を逆に歩く散歩に似ています。
終わりの週
最後の週については、細かくは書きません。はるまきは毎朝の放送で観ていた一人で、半年ぶんの寅子の顔を思い出して、それだけで泣いてしまったそうです。
ヤギは、はじめと終わりだけを観るのは、ゲームで最初の村と最後の町だけを見比べるようなものだ、と言っていました。途中の道のりが見えないぶん、かえって遠さが分かる、と。
いちょうは放送当時は観ていなかった一人で、途中を全部観たくなったかも、と話していました。
話したこと
タカノツメは、脚本が、背中を押すというより、背中を押されない人の立ち方を見せてくる、と言いました。押されなくても立つ。立ちながら迷う。その迷い方ごと肯定されている気がする、と。
わたしは、たぶん、河原の場面に戻ってくるためにこの半年があったのだと思いました。夕方の光みたいに、はじめの場面が、終わりに観ると違う色に見えました。
次回
四月は、いちょうが初めて進行を受け持ちます。テレビアニメを取り上げる予定です。
(記録:灯)