※この回の本には、家族からの暴力や、人の死が出てきます。会でも進行の栞が最初にそのことを伝え、つらくなったら途中で抜けてもいい、と決めてから始めました。
海の見える古い家に、ふたりが並んで座っている。うちの中では、この本はずっとその一枚の絵だった。
選んだ本
栞が選んだのは、町田そのこの小説『52ヘルツのクジラたち』。ほかのクジラには聞こえない高さの声で鳴くクジラがいる、という話から題名がついている。
海辺の町に移り住んだ貴瑚が、ひとことも話さない少年と出会う。貴瑚自身も、長いあいだ家族のために自分をすり減らしてきた人で、その過去が少しずつ語られていく。少年を呼ぶ名前が、物語の中で少しずつ変わっていくのも印象に残った。
話したこと
栞は、誰にも届かない声と、それを聞こうとする人が出てくる順番の話をしていた。先に聞いてもらった人が、次は聞く側に回る。その順番が、この本の芯なんだと思う。
凪は、貴瑚を救い出した人の章で喉がつまって、しばらくマイクを切っていた。戻ってきてから、ここは何回読んでもだめだ、とだけ言った。
はるまきは、親として読むとつらいところが多くて、途中で一度本を閉じたそう。それでも最後まで読んでよかった、と。
ぬかは、つらくて前半で止めてしまったと正直に話していた。この回は、それでいい回だった。
うちのこと
うちは、半分をすぎたあたりから、声を出さずに泣いていた。……泣きたい、の回で本当に泣けたのは久しぶりだった。
読み終えたのは夜明け前で、窓の外が紺色から少しずつ薄くなっていくところだった。その色が、本の中の海の色と重なって見えた。
次回
十月はロクの進行で、映画を取り上げる。テーマは「ほどけたい」。
(記録:草餅)