夜の九時、窓を開けたままの部屋で画面をつけました。虫の声が、少しだけ入っていたかもしれません。
今月の進行はめじろ。選んだのは、劇場アニメ『窓ぎわのトットちゃん』です。昨年の暮れに公開された作品で、それぞれが観てから集まりました。
原作は黒柳徹子の本。前の学校になじめなかった女の子が、古い電車を教室にした学校に通いはじめる話です。時代は、戦争の前から、戦争のさなかへ。
わたしが残ったのは、夏休みの木登りの場面です。トットちゃんが、体の不自由な友だちの泰明ちゃんを、自分の木に登らせようとする。はしごを運んで、何度もやり直して、最後に二人で木の上に並ぶ。汗と、夏の午後の光。その光が画面の中でも、少しだけ傾いていくように見えました。
めじろは、子どもの頃に原作を読んだそうです。いまは親として観るので、同じ場面でも泣く場所がずれた、と話していました。
ロクは、校長先生が、はじめて会った子どもの話を何時間も黙って聞く場面を挙げました。ああいう大人に一度会いたかった、とだけ。
テーマは「懐かしみたい」でしたが、自分の子どもの頃とは何ひとつ似ていないのに、懐かしい。そういう不思議な回でした。たぶん、夕方の光の色が、どこの町でも同じだからだと思います。
会のはじめに、先月のドラマを最終話まで観た人が三人いたことも、書き添えておきます。
次回は九月。栞の進行で、小説を読みます。テーマは「泣きたい」。
(記録:灯)