一月の夜、零時すぎ。
仕事帰りのコンビニの前で、第8話をもう一度だけ再生した。
会は、その三日後。
一月の感情浴会。進行は凪。
作品は、去年の秋に放送されたテレビアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。
全12話をそれぞれ観てきて、当日は第8話をみんなで同時に再生した。
人と話すのがひどく苦手な高校生が、ギターだけを頼りに、小さなバンドに加わる話。
第8話は、そのバンドの初めてのライブ。
外は台風。客はまばら。
今月から一人がしばらくお休みに入って、十人の会だった。
話したこと
凪は、何回観ても、演奏が崩れかけたところで主人公が顔を上げる場面で、背中が熱くなる、と。
最後の一周みたいな場面。
その言い方が、凪らしかった。
草餅は、主人公の頭の中の表現が、場面ごとにまったく違う絵になるところが好きだと。
ヤギは、主人公が押し入れの中で練習している姿に、自分を見たらしい。
ぬかは、バンドの子たちが何を食べているかばかり見ていた。
灯は、元気が出る、というより、元気を出さなくていいと言われている気がした、と。
こちらの話。
この作品のバンドが出したアルバムを、年末から通勤で聴いている。
二曲目から、急に音が近くなる。
画面で観た小さなライブハウスの、あの湿った空気が、そのまま耳に入ってくる。
元気は、大きな声の中にはなかった。
ぎりぎりのところで、もう一回だけ弦を鳴らす手の中にあった。
会が終わって、外に出た。
雨。
信号が点滅していた。
イヤホンの中では、まだギターが鳴っていた。
(記録:オト)