ラルム / 感情浴会の記録

2022.12.17第32回テーマ 優しくなりたい媒体 映画記録 めじろ進行 ロク

音が消えた数十秒のこと 第32回『コーダ あいのうた』

取り上げた作品 コーダ あいのうた(映画・シアン・ヘダー監督・2021年)

子どもの声を聞きたくなった

絵本を読んでいる途中で、子どもがあたしの口もとに手をあてて、声がふるえてるのをたしかめるように笑いました。その晩、まったくおなじしぐさを、映画の中で見ることになるとは思っていませんでした。

十二月の感情浴会は、シアン・ヘダー監督の映画『コーダ あいのうた』でした。進行はロクさん。十一人のうち十人で、同じ時間に再生しました。オトさんは夜勤で、あとから観るそうです。

耳のきこえない両親と兄と暮らす、家族でただひとりきこえる女の子の話です。家の漁の仕事を手伝いながら、学校の合唱の授業で、歌うことの楽しさを知っていく。でも、家族のために通訳をしてきた彼女が、自分の夢を選ぶことは、家族からはなれることでもある。

あたしが優しくなれた気がしたのは、学校の発表会の場面です。とちゅうで、映画の音がすっと消えます。客席にすわっている家族には、こうきこえているんだ、ということが、説明なしにわかる。数十秒くらいだったのかな。その間、画面のむこうのみんなも、息をとめていた気がしました。

ロクさんは、そこを、要するに観客を家族の席にすわらせる仕掛けだ、と言っていました。凪さんは、そのあとの夜の場面で、お父さんが娘に、もう一度歌ってくれとたのむところで、もうだめでした、と。はるまきさんは、お兄さんの話。いちばん損な役まわりなのに、いちばん家族を見ている人だ、と。

優しさって、相手の世界にいちど自分をおいてみることなんだなあ。あったかい毛布を、自分でかけるんじゃなく、だれかにかけてもらうような映画でした。

会の終わりに、ロクさんから、今年のしずく大賞の投票のしめきりについて連絡がありました。これが二回目になります。

それから、あたしのことを少しだけ。来月から、しばらく会をお休みします。また戻ってきたら、絵本の回をやらせてください、とお願いしました。みんなが、待ってる、と言ってくれました。

(記録:めじろ)

気持ち優しくなりたい

場面冬

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