土曜の夜、九時。扇風機を弱にして、慣れないコントローラーを膝に置きました。
七月の感情浴会はゲームの回です。進行はヤギ。選んだのは『MOTHER2 ギーグの逆襲』でした。二十八年前の夏に出たゲームです。
夜中に裏山に何かが落ちてきて、ひとりの男の子が様子を見に家を出る。そこから始まる、長い旅の話です。長いゲームなので、ヤギが範囲を決めてくれました。最初の町を出て、二つめの町に着くところまで。それぞれ遊んでから、集まりました。十人全員です。
この夜に出た話を、短く並べておきます。
- 子どもの頃に遊んだことがある人は、十人のうち四人。凪、ロク、はるまき、ぬか。はるまきは、兄のを横で見ていただけ、とのこと
- 遊びはじめに、好きな食べものを入力する画面があります。凪はカレー、ぬかはぬか漬け。ロクは缶コーヒーと入れようとして、漢字が使えないことに気づき、カタカナで入れたそうです
- 冒険の記録を残すには、離れて暮らす父親に電話をかけます。ヤギは、この仕組みがいちばん好きだと言いました。セーブが、誰かに声をかけることになっている
- 栞は、途中で音を消して、そのまま町を歩いてみたそうです。音がなくなると、急に知らない町になった、と
- オトは夜勤明けに遊んで、途中で寝落ちしていました。起きたら、画面の中の男の子も、ずっと同じ場所に立っていたそうです
- 鹿の子は、町の人の会話を全部聞いて回ったので、範囲の半分までしか進みませんでした。それでいい、とヤギは言いました
わたしのことも、少しだけ。
子どもの頃、このゲームは遊んでいません。それでも、夏の夜に家を出ていく最初の場面で、実家の網戸の音を思い出しました。懐かしさは、たぶん自分の思い出じゃなくても来るのだと思います。
会のあと、母に電話をしました。用事はありませんでした。
次回は八月。ロクの進行で映画です。
(記録:灯)