夜勤に出る前の、二時間。
それを、この会にあてた。
八月の感情浴会。
加わって最初の会で、いきなり記録係。
進行は栞。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を、朗読で聴く回。
栞の決まりは一つだけ。
画面を消して、目を閉じて聴くこと。
九人ぶんの画面が、順に暗くなった。
少年が、友だちと二人で、夜空を走る列車に乗る話。
窓の外を、星の名前の駅が過ぎていく。
聴いているあいだ、誰も話さない。
ときどき、誰かの部屋の扇風機の音。
それから、遠くの踏切。これはたぶん、自分の部屋の外。
話したこと。
灯は、途中で眠ってしまいそうになって、それがかえって正しい聴き方の気がした、と。
めじろは、子どもが途中で起きてきて、そのまま膝の上で一緒に聴いていたらしい。
ロクは、列車の中で出会う人たちの順番の話。短く、よくできた時刻表のようだ、と。
凪は、最後のほうで一度マイクを切っていた。
残ったのは、赤く燃える星の話が出てくるところ。
声が、そこだけ少し低くなった。
街灯の少ない道を、ひとりで歩いているときの暗さに近い。
聴き終えて、画面をつけるまで一分ほど。
誰も急がなかった。
二十三時すぎ、会が終わって、そのまま仕事に出た。
帰り道は夜明け前。
信号がひとつだけ点滅していた。