ラルム / 感情浴会の記録

2021.08.28第16回テーマ 静まりたい媒体 朗読/音声記録 オト進行 栞

目を閉じて乗った列車 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を朗読で(第16回)

取り上げた作品 銀河鉄道の夜(朗読・宮沢賢治・1934年)

耳だけが起きていた

夜勤に出る前の、二時間。
それを、この会にあてた。

八月の感情浴会。
加わって最初の会で、いきなり記録係。
進行は栞。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を、朗読で聴く回。

栞の決まりは一つだけ。
画面を消して、目を閉じて聴くこと。
九人ぶんの画面が、順に暗くなった。

少年が、友だちと二人で、夜空を走る列車に乗る話。
窓の外を、星の名前の駅が過ぎていく。

聴いているあいだ、誰も話さない。
ときどき、誰かの部屋の扇風機の音。
それから、遠くの踏切。これはたぶん、自分の部屋の外。

話したこと。
灯は、途中で眠ってしまいそうになって、それがかえって正しい聴き方の気がした、と。
めじろは、子どもが途中で起きてきて、そのまま膝の上で一緒に聴いていたらしい。
ロクは、列車の中で出会う人たちの順番の話。短く、よくできた時刻表のようだ、と。
凪は、最後のほうで一度マイクを切っていた。

残ったのは、赤く燃える星の話が出てくるところ。
声が、そこだけ少し低くなった。
街灯の少ない道を、ひとりで歩いているときの暗さに近い。

聴き終えて、画面をつけるまで一分ほど。
誰も急がなかった。

二十三時すぎ、会が終わって、そのまま仕事に出た。
帰り道は夜明け前。
信号がひとつだけ点滅していた。

感情浴会の記録に戻る