ラルム / しずく通信

2026.07.05第25号夏号編集 はるまき寄稿 はるまき・灯・オト・タカノツメ

しずく通信 第25号(2026年 夏)

夏の号のはじめに

(はるまき)

今年最初のすいかを切ったら、半分がまだ白くて、家族でしばらく黙っちゃいました。塩をふったら、なんとか食べられました。

この号には、大事なお知らせがあります。灯に書いてもらいました。一滴舎のこれまでの記録のことです。はるまきも、この六年ぶんの号を、あらためて一冊ずつ読み返しているところです。


お知らせ 記録を、ひとつの場所に

(灯)

九月の終わりに、これまでの記録を、ひとつの場所にまとめます。

感情浴会の記録、しずく通信のバックナンバー、しずく大賞の結果と選評、それからメンバーがそれぞれ書いてきた作品の記録。六年のあいだに、少しずつ、いろいろな場所に置いてきました。個人のアカウントに書いたもの、四年前からまとめはじめたもの、二年前から気持ちごとに並べ直しているもの。探すたびに、たぶん、あちこちの引き出しを開けていました。

それを、ひとつの棚に並べ直します。誰が読んでも、泣きたい夜や、眠れない夜に、そこから一冊選べるように。

秋の号、しずく通信の第26号は、その新しい棚で出す最初の号になる予定です。会は、これまでどおり毎月続けます。やることは、何も変わりません。

ひとつの場所に並べてみたら、たぶん、思っていたより長い道だったと分かる気がしています。


もくじ

  1. 夏の号のはじめに(はるまき)
  2. お知らせ 記録を、ひとつの場所に(灯)
  3. 感情浴会の記録 第72回〜第74回
  4. 寄稿 夏の夜明けの一枚(オト)
  5. 寄稿 夏ドラマの第1話(タカノツメ)
  6. 夏の選書
  7. 次の会

感情浴会の記録

第72回(四月) ときめきたい 『アオのハコ』(テレビアニメ)

進行:いちょう(初めての進行) 記録:草餅

毎朝、体育館で先に練習している一つ上の先輩に、少しずつ近づいていく男の子の話です。第1話から第3話までを、同じ時間に再生しました。いちょうは、通学の電車で主題歌をずっと聴いていたそうで、進行の最後に、この作品を選んだ理由を少しだけ話してくれました。会のあと、ロクが、進行、よかった、とだけ言いました。

第73回(五月) すっきりしたい 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ジョージ・ミラー監督

進行:ロク 記録:ヤギ

砂漠を支配する男のもとから、巨大な改造トラックで逃げる人たちの話です。二時間、一回も休めませんでした。凪は途中から立って観ていたそうです。はるまきは音量を上げたかったのに、家族が寝ていたので上げられませんでした。記録の最後には、ロクが、この映画を選んだ理由を短く追記しています。

第74回(六月) 静まりたい 坂本龍一『12』

進行:オト 記録:栞

十二の曲に、どれも日付だけが名前としてついているアルバムです。オトの決まりは、部屋の灯りを消して、画面も伏せて、音だけにすること。栞は、聴きながら曲名の日付を頭の中で並べていたそうです。終わってから、オトは、夜明け前に聴くとまた違う、とだけ言いました。


寄稿 夏の夜明けの一枚

(オト)

四時十分。
夜勤明け。
七月の空は、もう白い。

六月の会で聴いた一枚を、
会のあと、夜明け前に、もう一度。

坂本龍一の『12』。
ピアノと、ほとんど息のような音。
曲と曲のあいだが長い。
そのあいだに、新聞配達のバイクの音が入る。
遠くで、カラス。

会で聴いたときは、夜だった。
夜明け前に聴くと、音が、明るいほうへ向かっていく気がする。
二曲目から、空の色が変わるのと、同じ速さで。

もう一枚。
ceroの『Obscure Ride』。
夏の、湿った夜の一枚。
でも、最後のほうの曲を夜明けに聴くと、
夜が終わっていくのが、少しだけ惜しくなる。

帰り道の信号が、点滅から、ふつうの青に変わる。
それが、夜の終わりの合図。


寄稿 夏ドラマの第1話

(タカノツメ)

結論から言う。この夏、小生は第1話を四本、録画予約した。

七月は、連続ドラマの第1話がいっせいに始まる月である。小生の決まりは三つ。予告は観ない。出演者の名前も、なるべく調べない。そして、第1話を観終えるまで、どれを最後まで観るかは決めない。

第1話は、辛さの見本である。ひとくち目で、その店の辛さの方向が分かる。ぴりっと来るのか、あとから効いてくるのか、しびれるのか。脚本家は、第1話の最後の五分に、その全部を仕込んでくる。来週まで待てない、と思わせたら、脚本の勝ちなのだ。

四本のうち、何本が残るかは分からない。作品の名前は、最終回の前の週まで書かないことにする。途中で手放したものを、名前を出して手放したと書くのは、小生の流儀に合わないのである。

秋の号で、残った一本の話をする。


夏の選書

『BLUE GIANT』石塚真一(漫画)
選んだ人:草餅。ジャズのサックスで世界一を目指す青年の話。見開きのページから、音が聞こえてくる。夏の夕焼け色の河原で、ひとりで吹いているコマで、うちは止まる……

『きみの色』山田尚子監督(アニメ映画)
選んだ人:いちょう。人の色が見える女の子が、バンドを組む話です。夏休みに観たら、気づいたらサントラをリピートしてました。

『山と食欲と私』信濃川日出雄(漫画)
選んだ人:ぬか。ひとりで山に登って、山頂でごはんを作って食べる女性の話です。山の上のひとくち目は、どうしてあんなにおいしそうなのでしょう。白いごはんが欲しくなります。


次の会

  • 第75回(七月) テーマ「救われたい」。スーザン・バーレイの絵本『わすれられないおくりもの』。進行はめじろ、記録はこはぜ。めじろから、一人一ページずつ声に出して読む回にしたい、と提案がありました。
  • 第76回(八月) テーマ「懐かしみたい」。細田守監督の『サマーウォーズ』。進行は凪、記録はタカノツメ。

しずく通信 第25号 2026年7月 編集:はるまき

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