右手の親指が、終わったときにはしびれてた。ずっとリモコンを握りしめてたらしい。
今月はロクの進行で、ジョージ・ミラー監督の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。テーマは「すっきりしたい」。全員で、同じ時間に再生した。
砂漠を支配する男のもとから、大隊長のフュリオサが、巨大な改造トラックに女性たちを乗せて逃げ出す。そこに、たまたま捕まっていたマックスが巻きこまれる。追っ手は何十台もの改造車。行って、戻ってくる。話はそれだけだ。
それだけなのに、二時間、一回も休めなかった。
凪は途中から完全に立って観てたらしい。はるまきは、音量を上げたいのに家族が寝てるから上げられなくて、ずっとイヤホンを耳に押しつけてた、と。いちょうは、こういうの初めて観たかも、と最初は笑ってたのに、終盤は一言もしゃべらなかった。
俺がいちばん叫んだのは、砂嵐の中へ車ごと突っこんでいく場面。遠くの山も道も見えない。見えないまま、アクセルだけ踏んでる。ゲームでもあそこまでの無茶はなかなかしない。
終わったあと、みんなの顔がやたら晴れてた。すっきりしたい回で、ここまで全員がすっきりしたのは、たぶん初めてだ。
次回は六月。オトの進行で、音楽の回。
(記録:ヤギ)
追記(ロク)
選んだ理由を書いておく。台詞が少ない。説明がない。それでも筋が一度も分からなくならない。要するに、映画の骨組みだけで二時間走り切れるかの実験みたいな作品だ。画面の端まで、見るべきものが配線のように詰まっている。疲れた週に観ると、頭の中の余計なものが全部吹き飛ぶ。