午前四時。
帰りの道で、コンビニの明かりだけがついていた。
家に着いて、着替えもせずに第2巻を読み終えた。
今月の進行は草餅。
真造圭伍の漫画『ひらやすみ』。
第1巻と第2巻まで。
二十九歳のフリーター、生田ヒロト。
仲よくなったおばあちゃんから古い平屋を譲り受けて、ひとりで暮らしている。
そこへ、山形から出てきた従妹のなつみが転がりこむ。
大きな出来事は、ほとんど起きない。
草餅は、平屋の庭を描いたページで、一度本を閉じたと言った。
何もないのに、ずっと見ていられる、と。
灯は、少しだけ、ヒロトがうらやましい、と。
急がない人の毎日。
ぬかは、ヒロトの台所の場面ばかり覚えていた。
はるまきは、なつみの側で読んでいたらしい。
知らない町に出てきたばかりの、あの落ち着かなさ。
自分にもそういう春があった、と。
いちょうは、住んでいる町に平屋が一軒もないので、
縁側というものに一度座ってみたい、と言っていた。
ひとりを味わう回なのに、
この漫画のヒロトは、あまりひとりではない。
それでも、読んでいるこちらはひとりになれる。
夜明け前の街灯の下みたいな、静かなひとり。
二巻を読み終えて、窓を開けた。
朝の音が、少しだけ入ってきた。
次回、三月。
タカノツメの進行で、ドラマ。
(記録:オト)