はるまきが本を閉じる小さな音が、マイク越しに聞こえました。そのあとの静けさが、この夜でいちばん長い時間になりました。
年の暮れのみんなで観る会は、佐野洋子の絵本『100万回生きたねこ』です。進行ははるまき。それぞれ手もとに同じ本を用意して、はるまきが声に出して読み、ほかの六人は自分の本のページを、その声に合わせてめくりました。
何度も死んで、何度も生き返ってきた一匹の猫の話です。王さまの猫だったことも、船乗りの猫だったことも、泥棒の猫だったこともある。どの飼い主のことも好きではなく、死ぬことも少しもこわくなかった猫が、はじめて誰のものでもない自分自身になり、一匹の白い猫と出会います。
はるまきはふだん、子どもに読み聞かせるときと同じ速さで読んだそうです。それでも、白い猫が出てくるあたりから、ほんの少しずつ声がゆっくりになっていきました。私(栞)は、その速さの変わり方のほうに先に気持ちが動いた気がします。物語が変わる場所で、読む人の声も変わる。その順番でした。
読み終えてからの話は短いものでした。ロクは、何度も同じ形で繰り返される場面が、最後の一度だけ違う形になる、その骨組みがこわいくらい正確だと言いました。鹿の子は、子どもの頃に読んだときと今とで、泣く場所がずれていたそうです。凪は、黙っていました。あとで聞いたら、画面を切ってから少し泣いていた、とのことでした。
優しくなりたい、というテーマでしたが、読み終えて最初に感じたのは、優しさよりも、誰かを大切に思うことのこわさだった気がします。それでもこわくていいのだと、この絵本は言っているようにも読めました。
会の終わりに、灯から、来月の会でこの集まりの呼び方について相談したい、と話がありました。観る会と呼びながら、読んだり聴いたりすることが増えてきたからです。
(記録:栞)