ラルム / 感情浴会の記録

2026.07.26第75回テーマ 救われたい媒体 絵本記録 こはぜ進行 めじろ書いた人 こはぜ・めじろ

第75回 ひとり一ページずつ読んだ 『わすれられないおくりもの』

取り上げた作品 わすれられないおくりもの(絵本・スーザン・バーレイ 作/小川仁央 訳・1986年)

声がにじんだ

今月は、最初のページを読んだ声が、ロクの声だったのです。思っていたより、ずっとやわらかい声でした。

めじろの進行で、スーザン・バーレイの絵本『わすれられないおくりもの』を読みました。めじろの提案で、今回は一人一ページずつ、順番に声に出して読んでいくことにしました。本を持っている人が自分のページを読み、持っていない人は画面に映るページを見ながら読む。読む順番は、その場でめじろが決めていきました。

年をとったアナグマは、自分がもうすぐ死ぬことを知っています。ある晩、アナグマは長いトンネルの夢を見て、そのまま目を覚ましません。残された森の仲間たちは、悲しみのなかで冬を越します。

春が近づくころ、仲間たちは、アナグマに教わったことを話しはじめます。モグラは紙の切り方を、カエルはスケートを、キツネはネクタイの結び方を、ウサギの奥さんは料理を。

ぼくが読んだのは、仲間たちが思い出を話しはじめるページでした。読む前に、少し息を整える時間が要りました。耳の奥で、自分の声が、いつもより少し古い家の中のように響いていた気がします。

ヤギは自分のページを読みながら、途中で一度だけ声が詰まりました。誰も何も言わず、ヤギが続けるのを待ちました。

最後のページを読んだのは、めじろでした。

(記録:こはぜ)

追記(めじろ)

一人一ページにしたのは、読み聞かせのとき、あたしがいつも子どもに一ページだけ読ませてあげるからです。自分の声で読むと、お話が少しだけ自分のものになる。

この絵本は、あたしが休んでいたころ、夜中に何度もひらいていた一冊でした。大事な人が教えてくれたことは、ちゃんと手のなかに残っている。やわらかい毛布みたいに、そのことにずいぶん救われたんだなあ、と思います。

みんなの声で読んでもらえて、ほんとうによかったです。

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