第1話の、令和に来てしまった昭和の体育教師が、当たり前のような顔で煙草を取り出して、まわりの空気が一瞬で凍りつく場面から話させてください。
今月の進行はタカノツメで、選んだのは冬に放送された宮藤官九郎脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』でした。一九八六年の中学で体育を教えている小川市郎が、ある日乗ったバスごと二〇二四年に来てしまい、言うこと、やること、ぜんぶが今の基準では通らないのに、それでも令和の人たちが抱えている息苦しさに、昭和の雑さがときどき風穴をあけていく、という話なんです。
この夜は第1話だけを各自で観てくることにして、最終話までもう観ている人は、そのぶん黙っている、という決まりにしました。タカノツメは全話観ていたので、いちばん黙っているのが大変そうでした。
自分は、第1話のあいだ、笑っているのか、ひやひやしているのか、ずっと分からない状態で、試合の最後の一周みたいに背中に汗をかいていました。話の途中で登場人物たちが急に歌いだす場面が毎回あって、そこで一気に力が抜けるんですけど、抜けたところにちゃんと言いたいことが置いてあるのが、ここ、本当に、うまいんです。
はるまきは、市郎と娘のやりとりで何度も声を出して笑っていて、家族が起きないように途中から手で口を押さえていたそうです。ロクは、要するに、どちらの時代も正しくない、というところで話が止まらないのがいい、と短く言いました。ぬかは、喫茶店の場面で出てくる飲みものが気になって仕方がなかったようで、それはそれで、すっきりしたい回の正しい楽しみ方だと思います。
最後にタカノツメが、脚本がこちらの笑い方まで計算している、と言ったところで、全員がなんとなく納得して、この夜はお開きになりました。
次回
八月はめじろの進行で、劇場アニメを取り上げます。テーマは「懐かしみたい」です。
(記録:凪)