エンディングの曲が終わっても、しばらくは誰も再生を止めませんでした。止めるための指が、少し遅れた気がします。
今月の進行は凪です。去年の秋に放送が始まり、十二月のしずく大賞でアニメ部門に選ばれた『葬送のフリーレン』を、「救われたい」の回に持ってきました。放送はまだ続いていますが、この夜は凪の提案で第1話だけを同じ時間に再生し、二話目から先は観たい人が各自で、ということにしました。
魔王を倒した勇者たちが旅を終え、それから五十年ほどして、勇者ヒンメルが亡くなります。エルフの魔法使いフリーレンは、葬儀の場で初めて、自分がこの人のことをほとんど知ろうとしなかったと気づく。第1話はそこから、かつての仲間の僧侶ハイターのもとで、幼いフェルンと出会うところへ進んでいきます。
凪は、葬儀の場面で声が出なくなっていました。何回観ても、と言いかけて、そのまま黙ってしまったので、私たちは凪の画面が静かになるのを待ちました。
私(栞)がいちばん残ったのは、後半のハイターです。古い魔導書の解読をフリーレンに頼んで、そのあいだフェルンを見てもらう。その頼み方に、年をとった人のやさしい嘘が混ざっている気がしました。
ロクは、画面の端の季節の移り方で、年月が過ぎていく順番を数えていたそうです。灯は、フェルンが遠くの岩を撃ち抜く場面で、少しだけ泣いたと言いました。
オトは夜勤明けの仮眠から起きたところで、途中から加わりました。第1話は先に観ていたそうで、始発を待つあいだに主題歌を何度も聴いた、という話を少しして、また静かになりました。
「救われたい」というテーマに、凪は、遅れても間に合うことがある話、と一行で答えていました。取り返しのつかないことは、もう起きている。それでも知ろうとするのは遅すぎない。その順番が、私にはいちばん残りました。水に落ちたしずくが、少し遅れて輪を広げていくような回でした。
凪は、この作品の記録を別に書くつもりだそうです。
次回は三月。タカノツメが初めて進行を受け持ち、海外のドラマを取り上げます。テーマは「ときめきたい」。
(記録:栞)