春の号のはじめに
(はるまき)
上の子の自転車の補助輪を、この春やっと外しました。外した日の夕方、はるまきのほうが先にへとへとになっちゃいました。
去年の春に加わったいちょうが、この四月で一年になります。今月の会では、いちょうが初めて進行を受け持ちます。一年目の感情浴のことを書いてもらいました。それから、めじろには春の絵本を。
冬の三回は、恋の映画を逆さまにたどって、平屋でひとりを味わって、朝ドラの最初と最後を見比べる、という三回でした。
もくじ
- 春の号のはじめに(はるまき)
- 感情浴会の記録 第69回〜第71回
- 寄稿 一年目の感情浴(いちょう)
- 寄稿 春の絵本(めじろ)
- 春の選書
- 次の会
感情浴会の記録
| 回 | テーマ | 作品 | 進行 | 記録 |
|---|---|---|---|---|
| 第69回(一月) | やり直したくなりたい | 『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督 | はるまき | いちょう |
| 第70回(二月) | ひとりを味わいたい | 『ひらやすみ』真造圭伍 | 草餅 | オト |
| 第71回(三月) | 背中を押されたい | 『虎に翼』(連続テレビ小説) | タカノツメ | 灯 |
一月は、はるまきが選んだ映画。ある二人の恋を、毎年同じ一日を切り取りながら、今から昔へさかのぼっていく話です。第2回の大賞の年に観た人は、四年ぶりの観直しでした。凪は、前に観たときとは違う側の人の気持ちで観ていたそうです。記録のいちょうは初めて観て、終わってから気づいたら二回目を再生していた、と書いています。
二月は、古い平屋でひとり暮らしをする青年の漫画を、第1巻と第2巻まで。記録のオトは、夜勤明けの午前四時に、着替えもせずに第2巻を読み終えたそうです。はるまきは、田舎から出てきたばかりの従妹の側で読んでいました。知らない町に出てきたばかりの、あの落ち着かなさ。はるまきにも、そういう春がありました。
三月は、日本で初めて女性として法律の道に進んだ一人の、半年ぶんの朝ドラ。タカノツメの提案で、はじめの週と終わりの週だけを観比べました。はるまきは放送のときに毎朝観ていた一人なので、途中の半年を全部思い出しながら観て、ちょっと泣いちゃいました。
寄稿 一年目の感情浴
(いちょう)
去年の四月、課題を放り出して、初めての会の画面を開きました。十三人ぶんの小さな四角が並んでいて、どこを見ればいいのか分からなかったです。
一年たちました。
最初の会は漫画でした。そのアニメを観てたので、なんとか話せました。二回目は、答えの出ない小説。友だちに勧めるかどうか、まだ決められない、と正直に言ったら、それでいい回でした、と記録に書いてもらえて、ちょっとほっとしました。
三回目で、初めて記録係をやりました。書いてみて分かったのは、みんなの話を聞きながらメモを取るのが、思ったより忙しいことです。
いちばん覚えているのは、七月の宇宙のゲームの回です。霧の星で怖くなって、そこから先へ進めませんでした。十三人のうち、始められなかった人もいて、途中の人もいて、それでも同じ画面に集まってる。それが、なんだか安心でした。
今月、初めて進行をやります。選んだのは、朝の体育館から始まるアニメです。通学の電車で、主題歌をずっとリピートしてました。
一年目の感情浴は、たぶん、みんなの話を聞く一年でした。二年目は、もう少し話すかも。
寄稿 春の絵本
(めじろ)
保育園のおむかえの帰り道、下の子がしゃがみこんで、道ばたのたんぽぽを指さしました。その夜の読み聞かせは、たんぽぽの絵本になりました。
平山和子の『たんぽぽ』は、たんぽぽが咲いて、しぼんで、わた毛になって、飛んでいくまでを、とても細かい絵でえがいた本です。お話というより、観察の本。それでも、わた毛が一本ずつ風にのっていくページで、子どもが、ふうっと息を吹きます。絵本の中のわた毛が飛んでいくように。
もう一冊は、『はなをくんくん』。雪の森で冬ごもりしていた動物たちが、目をさまして、鼻をくんくんさせながら、みんなでどこかへ走っていく絵本です。白と黒の絵が続いて、最後のページにだけ、小さな色があります。そのページをめくる手が、毎年、春になると少しゆっくりになるんだなあ。
冬のあいだ、うちの子たちも、毛布にくるまって冬ごもりをしていました。春になったら、鼻をくんくんさせて、外へ走っていく。絵本とおなじです。
春の選書
『成瀬は都を駆け抜ける』宮島未奈(小説)
選んだ人:灯。二年前の春の会で読んだ本の、続きの続きです。主人公は大学生になりました。春の夕方に、少しずつ。
『ばけばけ』(連続テレビ小説)
選んだ人:タカノツメ。去年の秋から、この三月まで放送されていた朝ドラである。怪談を愛した異国の作家と、その妻になる女性の話だ。去年の夏の会で聴いた怪談と、脚本がひそかにつながっている。
『Hollow Knight: Silksong』(ゲーム)
選んだ人:ヤギ。糸と針で戦う、小さな虫の旅。とにかく難しい。何度も倒れて、何度も同じ坂を登る。春休みの長い夜に。
次の会
- 第72回(四月) テーマ「ときめきたい」。テレビアニメ『アオのハコ』、第1話から第3話まで。進行はいちょう、記録は草餅。
- 第73回(五月) テーマ「すっきりしたい」。映画の回です。進行はロク、記録はヤギ。
しずく通信 第24号 2026年4月 編集:はるまき