ラルム / しずく通信

2025.01.05第19号冬号編集 はるまき寄稿 はるまき・タカノツメ・栞

しずく通信 第19号(2025年 冬)

冬の号のはじめに

(はるまき)

お正月の三が日、ずっと台所に立っていたら、ドラマを一本も観られないまま四日になっちゃいました。

去年の暮れの会は、十二月二十八日でした。一年でいちばん押しつまった日に、侍の映画で元気をもらって、そのまま大賞の開票。いや、ほんとに、にぎやかな年越しでしたよね。

今号の寄稿は、年末年始にドラマを一気見したタカノツメと、冬に聴くアルバムの栞です。はるまきの代わりに、タカノツメがたくさん観てくれました。


もくじ

  • 冬の号のはじめに(はるまき)
  • 感情浴会の記録 第54回〜第56回
  • 第4回 しずく大賞の結果
  • 寄稿 年末年始の一気見(タカノツメ)
  • 寄稿 冬のアルバム(栞)
  • 冬の選書
  • 次の会

感情浴会の記録

十月十二日(土) 第54回 ほどけたい
三宅唱監督『夜明けのすべて』。進行はロク、記録ははるまき。会のはじめに、先月の本を前半で止めていた人から、あのあと最後まで読んだ、という報告がありました。月に一度、体の調子で気持ちが抑えられなくなる女性と、パニック障害をかかえる青年が、小さな会社で少しずつ助け合う話です。ロクがこれを選んだ理由は、誰も怒鳴らない映画だから。はるまきは、髪を切ってあげる場面で笑いました。

十一月十日(日) 第55回 癒されたい
『ぐりとぐら』中川李枝子・大村百合子。進行はめじろ、記録はこはぜ。めじろが画面に本を向けて読みました。野ねずみの二匹が、森で大きな大きなたまごを見つける話です。焼き上がりを待つあいだの、めじろの声の間が、こはぜにはいちばん残ったそうです。ぬかは読み終わるなり、台所へ立っていきました。

十二月二十八日(土) 第56回 元気を出したい
安田淳一監督『侍タイムスリッパー』。進行はロク、記録はタカノツメ。幕末の侍が、現代の時代劇の撮影所に飛ばされて、斬られ役として生きていく話です。それぞれ映画館で観てから集まりました。凪は、侍よりも撮影所で働く人たちのほうで熱くなったそうです。


第4回 しずく大賞の結果

投票したのは十一人。オトが休会中のため、今回は投票に加わっていません。取りまとめはロクです。

部門 大賞 票 選評
小説 『カフネ』阿部暁子 10票中4票 こはぜ
漫画 『ふつうの軽音部』クワハリ・出内テツオ 9票中5票 草餅
アニメ 『ダンジョン飯』(テレビアニメ) 11票中6票 凪
映画 『侍タイムスリッパー』安田淳一監督 10票中7票 ロク
ドラマ 『虎に翼』(連続テレビ小説) 11票中6票 タカノツメ
音楽 米津玄師「さよーならまたいつか!」 9票中3票 栞
ゲーム 『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(HD-2D版) 7票中3票 ヤギ

十二月の会で取り上げた映画が、その月のうちに大賞に選ばれたのは、四回目にして初めてです。


寄稿 年末年始の一気見

(タカノツメ)

結論から言う。十二月三十日から一月三日までの五日間で、小生は十七話を観た。

年末年始は、連続ドラマを一気に観るために一年間ためておいた時間である。今年の献立は二本。

一本目は『地面師たち』。土地の持ち主になりすまして、大金をだまし取る詐欺師たちの話である。一話ごとに、辛さが一段ずつ上がっていく。最初はぴりっと来る程度だったのが、終盤には、口の中がしびれて味が分からなくなる。脚本が、観る側の舌を麻痺させにくるのだ。

二本目は『SHOGUN 将軍』。戦国の終わりの日本に、異国の船乗りが流れつく話で、こちらは辛さというより、じっくり煮込んだ濃い汁物である。一話が長い。だが、一話ごとに、盤上の駒が一つずつ動く。来週まで待てない、ではなく、待たずに次を再生してしまう。これが一気見の危うさなのだ。

一気見には、ひとつ欠点がある。最終回の前の週がない。前に会報に書いたとおり、小生はあの一週間を愛している。五日で十七話を観ると、あの週は、一晩の眠りの中に消えてしまうのである。

来年の年末は、一本だけにしようと思う。たぶん、無理である。


寄稿 冬のアルバム

(栞)

最後の曲が終わってから、窓の外の雪が、音もなく積もっていくのをしばらく見ていました。

冬に聴くアルバムは、音の少ないものがいい気がします。雪は音を吸うので、部屋の中の音も、少し遠くなる。そこに、大きな音はあまり似合いません。

シガー・ロスの『Takk…』は、北の国のバンドの一枚です。何を歌っているのか、私にはほとんど分かりません。分からないまま、声が楽器のひとつとして、遠くから近づいてくる。曲の順番に沿って聴いていくと、雪原を少しずつ歩いているような気がしてきます。

坂本龍一の『BTTB』は、ピアノだけのアルバムです。短い曲がいくつも並んでいて、一曲ごとに、部屋の温度が少しずつ変わる。ピアノの音が消えたあとの、ほんの短い無音のところに、いちばん長く残るものがある気がします。

冬の夜は長いので、一枚を通して聴いても、まだ夜は終わりません。二枚目をかけるかどうか迷うあいだの、その静けさまで含めて、冬のアルバムなのだと思います。


冬の選書

『作りたい女と食べたい女』ゆざきさかおみ(漫画)
選んだ人:ぬか。料理を作るのが好きな女性と、たくさん食べる女性が、同じマンションで出会う話です。大きな鍋いっぱいの料理が、ひとくち目で消えていく場面に、白いごはんが欲しくなります。

『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』(ゲーム)
選んだ人:ヤギ。海に浮かぶ島々を、兄弟で船に乗って回る。島に着くたびに、次の島が遠くに見える。

『100かいだてのいえ』いわいとしお(絵本)
選んだ人:めじろ。ページを縦にめくって、100かいまでのぼっていく絵本です。十かいごとに住んでいる生きものがかわるので、読み聞かせのとき、子どもと一緒に数えながらのぼります。

『ルックバック』藤本タツキ(漫画)
選んだ人:草餅。一昨年の秋の会で読んで、去年の夏に映画になった一冊。冬にもう一度読むと、雨の帰り道の見開きが、少し違う色に見える……


次の会

  • 第57回(一月) テーマ「優しくなりたい」。テレビドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』。進行ははるまき、記録はめじろ。
  • 第58回(二月) テーマ「笑いたい」。エッセイの回です。進行はぬか、記録は栞。

しずく通信 第19号 2025年1月 編集:はるまき

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