ラルム / 感情浴会の記録

2021.03.06第11回テーマ 遠くへ行きたい媒体 ゲーム記録 ロク進行 ヤギ

第11回の記録 二時間、ひとりずつ砂の上を歩いた 『風ノ旅ビト』

取り上げた作品 風ノ旅ビト(ゲーム・thatgamecompany・2012年)

遠くの山が近くなった

遊ぶ時間は二時間ほど。会の一週間前に、それぞれ一人で最後まで歩いておく。それが進行のヤギからの条件だった。

三月の感情浴会。初めてのゲームの回だ。作品は『風ノ旅ビト』。砂漠の真ん中で目を覚ました旅人が、遠くに光る山を目指して歩く。それだけのゲームだ。言葉は一つも出てこない。

参加は七人。十一は卒業の準備で欠席。

当日の話を、数字で残しておく。

  • 全員が遊び終えるまでにかかった時間。短い人で一時間四十分、長い人で三時間。長かったのは灯。途中で何度も立ち止まって景色を見ていたらしい
  • 途中で、知らない誰かの旅人と一緒になった人。七人中六人。このゲームは、同じ時間に遊んでいる見知らぬ誰かと、名前も分からないまま一緒に歩くことがある
  • その相手と、最後まで一緒だった人。三人
  • 声を出して何か言った人。凪一人。雪の場面で、一人で遊んでいるのに、思わず相手に向かって話しかけていたそうだ
  • ゲームを初めて最後まで遊んだ人。はるまき。コントローラーを持つのは十年ぶりと言っていた

要するに、全員が別々に、同じ場所を目指して歩いた。そのことを、日曜の夜に七人で確かめ合った会だった。

僕が残ったのは、雪山の場面だ。体に巻いた布が短くなり、足が重くなる。画面の端に、同じように凍えている誰かがいる。助けることはできない。近くにいることしかできない。それで十分だった。

ヤギは進行の最後に、遠くへ行きたいときは、遠くを歩いている誰かの隣にいるだけでいい、と言った。珍しく、誰も茶化さなかった。

次は四月。灯の進行で漫画。記録は凪。

(記録:ロク)

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