ラルム / 気持ちの辞典 / 寂しさに浸りたい

さびしさにひたりたい

寂しさに浸りたい

寂しさを追い払わず、しばらくその中に座っていたい夜に

まとまり
涙と余韻
記録した作品
13 作品
よく書く人
凪・ヤギ・栞

この気持ちについて

寂しさは、ふつうは遠ざけたい気持ちです。それでも、あえて寂しさに浸りたくなる夜があります。無理に明るくしようとするより、寂しいものは寂しいと認めて、しばらくその中に座っていたい。そういう夜には、同じ温度の作品が隣にいてくれることが支えになります。

この気持ちの感情浴は、慰められることを目的にしません。作品の中にも寂しい人がいて、その人も特に救われないまま日々を続けている。それを眺めているうちに、自分の寂しさが特別なものではなく、多くの人が抱えてきたものだと分かってきます。

吉本ばななの小説『キッチン』は、ひとりになった主人公が台所という場所に寄りかかりながら、喪失のあとの時間を過ごしていく物語です。ソフィア・コッポラ監督の映画『ロスト・イン・トランスレーション』は、異国のホテルで眠れない二人の、言葉にならない孤独を静かに映します。音楽なら、サティの『ジムノペディ』のように、音と音のあいだの空白が寂しさの形をしている曲がよく合います。

寂しさへの感情浴は、深く沈みすぎないことも大切です。浸かったあとは温かい飲み物を用意するなど、戻り道を決めておくと安心です。

寂しさに浸りたいときの作品

この気持ちで記録された13作品です。しずくの数は、心が動いた大きさの目安で、作品の出来を採点したものではありません。

『ICO』の表紙
ゲームヤギの記録

手を離すボタンが、いちばん重かった 『ICO』

長椅子の前で、コントローラーを置いた
『12』の表紙
音楽オトの記録

題名は、日付だけ 坂本龍一『12』

信号をひとつ見送った
『Outer Wilds』の表紙
ゲームヤギの記録

二十二分ごとに、太陽が終わる 『Outer Wilds』

焚き火の前で動けなくなった
『正欲』の表紙
小説灯の記録

「わかる」と言えなくなる本 朝井リョウ『正欲』

揺れるより先に、黙った
『君たちはどう生きるか』の表紙
アニメ凪の記録

泣けなかった、でもずっと考えている 宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』

まだ考え中
『夢十夜』の表紙
朗読/音声こはぜの記録

障子の向こうから聞こえてくるような、十の夢 夏目漱石『夢十夜』を耳で読む

耳の奥がひやりとしました
『宝石の国』の表紙
漫画凪の記録

硬度三半の主人公が、夜の見回りに会いにいく 市川春子『宝石の国』

指先が冷たくなった
『平家物語』の表紙
アニメ凪の記録

滅びると分かっている人たちを、琵琶の音で見送る アニメ『平家物語』

目の奥が熱いまま終わった
『ないた赤おに』の表紙
絵本めじろの記録

読み聞かせの途中で、声がつまってしまった絵本 『ないた赤おに』

読む声がつまった
『BADモード』の表紙
音楽オトの記録

紺から灰色へ。始発の窓で聴き終えた一枚 宇多田ヒカル『BADモード』

窓の色が変わるまで聴いた
『銀河鉄道の夜』の表紙
朗読/音声栞の記録

目を閉じたまま乗る、夜の汽車 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を朗読で聴く

耳の奥に汽車の音が残りました
『花束みたいな恋をした』の表紙
映画ロクの記録

『花束みたいな恋をした』 五年分の骨組みが、少しずつずれていく

骨組みがきしむ音がした
『HELP EVER HURT NEVER』の表紙
音楽栞の記録

最後の一曲が終わって、部屋の音が戻ってくるまで 藤井風『HELP EVER HURT NEVER』

余韻が長く残りました

この気持ちになれる場面

寂しさに浸りたい作品が、どんな時によく浸かられているか。場面ごとに、作品と特集を束ねています。